2026年4月、認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパンが主催する「フェアトレード ミリオンアクションキャンペーン2026」で、これからの私たちの「未来」を考える発表会が開催されました。
2021年の開始から今年で6回目を迎えるこのキャンペーンは、5月のフェアトレード月間に合わせ、市民や企業が一体となってフェアトレードを盛り上げる国内最大規模の啓発イベントです。
今回のキャッチコピーは、「“いいもの”の先に、“いい世界”を。」。
私たちは普段、何を基準に「もの」を選んでいるでしょうか。価格、品質、デザイン。もちろんそれらは大切ですが、その「もの」が作られる背景にまで想像を広げたとき、世界は少し違って見えてくるかもしれません。
本記事では、気候変動に脅かされる生産地の現状や、キャンペーンに込められた想い、そして私たちが今日から始められるアクションについて、発表会の様子を交えてレポートします。
フェアトレードとは? 公平・公正で持続可能な、未来を守る選択
日ごろから楽しんでいるコーヒーや紅茶、バナナやチョコレート。私たちの日常には、世界中から届けられたたくさんの食べ物があふれています。しかし、それらを生産している国や、現地で暮らす人々のことに想いを巡らせたことはありますか?
今、日本では、開発途上国で作られた日用品や食料品が、驚くほど安い価格で販売されていることがあります。手軽に手に入る便利さの裏側で、実はその「安さ」を生み出すために、生産者に正当な対価が支払われなかったり、生産性向上のための過剰な農薬使用によって豊かな自然が破壊されたり、そこで働く人々の健康が脅かされたりといった事態が起こっています。
生産者がこれからも美味しくて品質の良いものを作り続けていくためには、彼らの労働環境や生活水準が守られ、地球にも優しい配慮がされる「持続可能な取引のサイクル」を作っていくことが欠かせません。

そこで今、改めて重要性が高まっているのが「フェアトレード」です。
直訳すると「公平・公正な貿易」。開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することにより、立場の弱い生産者や労働者の生活改善と自立を目指す「貿易のしくみ」を指します。
具体的には、以下のようなアプローチが挙げられます。
◆適正な価格の保証:生産者が持続可能な生活を送れる価格で取引する。
◆フェアトレード・プレミアムの支払い:地域の開発(インフラ整備や教育、医療など)に充てられる奨励金を支払う。
◆人権の尊重:児童労働や強制労働を禁止する。
◆環境への配慮:農薬の使用制限など、自然環境を守る生産を行う。
気候変動が脅かす「あたりまえの日常」
今、このフェアトレードが重要視されている背景には、様々な世界情勢や深刻化する気候変動があります。
例えば、2025年11月末から12月初旬、インドネシアやスリランカで起きた豪雨・洪水。これにより、コーヒー、紅茶、カカオ、スパイスなど様々な生産者が影響を受け、被害総額は推計で23億円を超えています。
「コーヒー2050年問題」という言葉があるように、このまま気候変動が進めば、2050年までにアラビカ種の栽培適地は現在の50%にまで減少すると予測されています。
私たちが今日、手頃な価格でおいしいコーヒーを飲める「あたりまえ」は、実は非常に危ういバランスの上に成り立っているのです。

1アクションが1円の寄付に。「ミリオンアクションキャンペーン2026」
こうした危機に対し、消費者の「選ぶ力」を支援の輪につなげるのが「フェアトレード ミリオンアクションキャンペーン」です。キャンペーン期間中(2026年5月1日〜31日)、日本国内でフェアトレードに関するアクションを行うと、1アクションにつき1円が開発途上国の生産者へ寄付されます。
寄付金は、フェアトレード アジア太平洋(Fairtrade NAPP)が運営する「気候災害救援・レジリエンス基金」を通じて、被災した生産者組織の復興支援に活用されます。
アクションの対象は幅広く、フェアトレード認証商品の購入や登録レストランでフェアトレードのメニューを味わうことのほか、SNSでの投稿、関連のイベントに参加するなど、誰でも気軽に参加できます。

フェアトレード ミリオンアクションキャンペーン2026 概要
【期間】2026年5月1日(金)~5月31日(日)
【参加方法】
・フェアトレード商品の購入
・#フェアトレード2026 のSNS投稿
・全国のフェアトレード関連イベントへの参加
・フェアトレード・ラベル・ジャパンへの寄付
・登録レストランでのフェアトレードドリンク・フード購入 など
【キャンペーン特設サイト】https://fairtrade-campaign.com/
街へ、食卓へ。広がるフェアトレードの輪
今年のキャンペーンには、全国各地の百貨店、食品メーカー、飲食店、大学など約200の企業・団体が参画し、フェアトレードを身近に体験できる期間限定のメニューやイベントが展開されています。その中でいくつかピックアップしてご紹介します。

◆千疋屋総本店:日本橋本店限定で、エクアドル産のフェアトレード認証バナナの販売と、同バナナを贅沢に使用した「パフェ・モカバナナ」を提供。
詳細:日本橋本店限定フェアトレード認証バナナの期間限定フェアのご案内

◆DEAN & DELUCA(ディーン&デルーカ):フェアトレードのスパイスや紅茶などの素材を使用した8商品を展開。「ケールとキノアのサラダ」や、ダージリンとアールグレイを練り込んだ「ティーヴィクトリアケーキ」などを提供。

◆小川珈琲:国際フェアトレード認証を取得したコーヒーを製造・販売。また、小川珈琲 直営店では、フェアトレード月間の期間中、国際フェアトレード認証商品を一部に使用した期間限定「フェアトレードアールグレイの桃香るフルーツティー」などを提供。
詳細:5月はフェアトレード月間 小川珈琲が「”いいもの”ってなんだろう」をテーマとしたイベントを開催

◆国分グループ本社:オランダ発のサステナブルチョコレート「トニーズ・チョコロンリー」や、南アフリカ産のフェアトレード認証ブドウ100%の赤ワイン「KWV カフェ・カルチャー」を実店舗・ECサイトで販売。
詳細:国分グループ、「フェアトレード ミリオンアクションキャンペーン」に参画

◆立川の複合施設GREEN SPRINGS(グリーン スプリングス)では、対象店舗でフェアトレード食材を取り扱ったメニューやフェアトレード素材を使用している商品を楽しめる「GREEN SPRINGS Sustainability Month」を実施。
詳細:GREEN SPRINGS Sustainability Month
そのほか、パートナー団体・企業情報はこちら。
「いいもの」の定義を、みんなで問い直す
今年のキャッチコピー「“いいもの”の先に、“いい世界”を。」について、フェアトレード・ラベル・ジャパン事務局長の潮崎真惟子氏はこう語ります。

「今、日本や世界において”いいもの”の定義が変わりつつあるのではないか、と感じています。美味しいことや価格が安いことはもちろんそうですが、それだけではなく、背景にあるストーリーがサステナブルであること、そして”私たちの未来にとっても良いこと”が、これからの”いい”の定義になっているのではないでしょうか。
“自分にいいこと”と”世界にいいこと”は、相反するものではなく両立できる。そのことをしっかり伝えていきたいと思っています。」
また、トークセッションでは、登壇者のお二人に、「あなたにとっての“いいもの”とは何か」という問いが投げかけられました。
自身の学生時代を振り返り、「自分が普段選んでいるものが、地球の裏側での森林伐採や児童労働に影響を与えていたと知ったことが原点」と語る、エシカルコーディネーターのエバンズ亜莉沙さんは、「作られるところから、最後の手放されるところまでの『命の流れ』が美しいもの」だと答えます。

「誰がどう作っているかという背景はとても大切。自然を傷つけず、作り手さんが大切にされ、手にする方の心や暮らしも豊かになる。さらには、手放すときにも地球に帰っていったり、また次の人に循環していったり。そうした物語のあるものが、私にとっての“いいもの”です。」
続いて、ジャーナリスト・映画監督の堀潤さんは、「一人ひとりのパワーを軽視しない社会を作ることが、持続可能な未来への空気を作っていく」とした上で、作り手と買い手、双方の「意思」の重要性を訴えました。

「作り手の“こうしたいから作る”という意思と、買い手の“だから選びたい”という意思が、きちんと宿っているものが“いいもの”だと思うんです。意思が介在しないで作らされる搾取の構造を、フェアトレードで変えていかなければならない。まずは、私たち消費者が意思を持って選び、楽しむということから始められたらいいなと思っています。」
私たちが日々、製品を手に取り口にするときの「おいしい」「楽しい」「かわいい」というワクワクと共に、生産ストーリーまで思いを巡らせ、つくり手や笑顔が守られていくような選択をしてみませんか。その積み重ねが、未来を生きる子どもたちの暮らしや、地球環境を守ることにつながっていきます。
(参考サイト)
●フェアトレード・ジャパン公式サイト
●フェアトレード ミリオンアクションキャンペーン特設サイト
●ミリオンアクションキャンペーン2026 プレスリリース(PR TIMES)