守りの情報開示から「共感を創る発信」へ。先進50社に学ぶエクスターナル・ブランディング最前線

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「サステナビリティの発信をしたいが、〇〇ウォッシュと批判されるのが怖い……」「リスク回避の『守りの開示』に精一杯で、自社の想いに共感してくれるファンやパートナーが増えない」

このような悩みを抱えている企業担当者の方も多いのではないでしょうか。社会的な要請に応えるための情報開示に追われる一方で、「批判を恐れるあまり、発信にブレーキがかかってしまう」というのは多くの企業が直面している課題です。環境面の発信を控えることは「グリーンハッシング」ともいわれています。

しかし、ESG評価上位の国内先進50社を調査した最新レポート「国内先進50社の調査結果から読み解く サステナブル・ブランディングの動向」によると、社外向け(エクスターナル)のサステナブル・ブランディングは、未来を共に創る「パートナーとの対話・共創」アプローチが主流となっていることが分かります。

本記事では、レポートが示す最新の施策トレンドとともに、編集部が注目した事例を詳しく解説します。志を共にするパートナーを惹きつける「攻めのブランディング」を積極的に展開するためのヒントを、ぜひ見つけてください。

レポートにおける国内先進50社の調査結果からは、社外向けサステナブル・ブランディングにおける「ターゲット」と「施策」において、2つのトレンドが浮かび上がってきました。

レポートの「ターゲット分類」において、特に重視されているのが「取引先・パートナー向け」と「次世代向け」のアプローチです。

これまで多くの企業におけるサステナビリティ発信は、投資家向けのESG開示や、一般生活者向けの全般的なPRが中心でした。しかし先進企業は、一社だけでは解決できない複雑な社会課題に立ち向かうため、バリューチェーン全体での変革を促す「取引先・パートナー」との関係強化を特に強調しています。同時に、未来の社会を担う「次世代」への啓発活動も同等に重視されており、持続可能な社会を「共につくる」という企業の強い意志がこのターゲット選定に現れています。

では、具体的にどのような手法でステークホルダーと接点を持っているのでしょうか。施策トレンドでは、以下の2つに注力する企業が多い傾向です。

  • サステナビリティ関連特設Webサイト: 企業の存在意義(パーパス)や、具体的な取り組みの進捗を継続的に発信し、可視化するための重要なデジタルプラットフォームとして機能しています。
  • サステナビリティ関連イベント: Web上の情報発信に留まらず、直接的な体験や対話を通じて、ステークホルダーとの深いコミュニケーションやエンゲージメントを設計しています。

ステークホルダーを単なる「情報の受信者」ではなく、社会課題をともに解決する「共創パートナー」と捉え、双方向のコミュニケーションを設計することこそが、攻めのブランディングの潮流といえます。

「ウォッシュへの懸念から脱却したい」「志を共にするパートナー企業と繋がれない」という課題に対し、先進企業はどのような発信と場づくりを行っているのでしょうか。編集部が注目する具体的な事例を、3つの切り口から紹介します。

一社では解決できない大きな課題(カーボンニュートラルや資源循環など)に対し、具体的な「仕組み」や「場」を提供して、他社や地域を巻き込んでいる事例です。

クレジットの創出からデータ管理までを専用ウェブサイト上で一元管理し、企業向けに対象森林の所在を分かりやすく提供するプラットフォームです。パートナー企業とともに森林価値を高める仕組みを構築しています。

バイオマス化を進める「BePLAYER®」とリサイクルを推進する「REPLAYER®」の2つの軸で、持続可能な社会を目指す特設サイトです。素材のイノベーションを通じて、バリューチェーン全体で社会課題を解決するための共創を広く呼びかけています。 

「社会にイノベーションを起こしたい。さぁ、未来のために、KAWARUBAへ。」をコンセプトとした、社会実装を目的とした体験・実証型のイノベーション共創拠点です。

これらの事例に共通するのは、自社の技術を誇示するだけでなく、「一緒に社会を変えるために、このプラットフォーム(あるいは場)を使ってください」というオープンな姿勢です。これが、志を同じくする企業を引き寄せる強力なマグネットとなっています。

「〇〇ウォッシュ」と批判される最大の原因は、実態の伴わない表面的なアピールにあります。先進企業は、現場の社員のストーリーや、具体的な泥臭いアクションを誠実に可視化することで、信頼を獲得しています。

グループの多様な事業や強みを、現場で奮闘する社員の「ストーリー」を通じて社外へ発信するオウンドメディアです。動画コンテンツも充実しており、パーパスがどのように現場で実践されているのかをリアルに伝えています。

移動やロボット、水素エネルギーなど、同社が長期で達成すべき最重要課題(マテリアリティ)と完全にリンクした形で、プロジェクトに挑む社員の声をストーリーとして届けています。

「SEE, SAY, DO.(見て、話して、行動しよう)」という強いメッセージを掲げ、ジェンダー平等や多様性(DE&I)に対する企業の姿勢とリアルなアクションを提示している特設サイト。中学生向け無料教材の提供など、スローガンに留まらない具体的な「行動(DO)」を提示することで誠実な姿勢が伝わります。

「住み続けられる」「永く愛される」「地域社会にも環境にもいい」といった未来のための約束を美しい世界観で表現した特設サイト。環境や暮らしの価値を生活者視点の温かみあるビジュアルと明快な言葉でストーリー化しており、「共感を呼ぶ攻めの発信」の好例です。 

客観的なデータ開示(統合報告書など)を土台としつつ、こうしたストーリー性の高い特設メディアを運用することで、「顔の見える誠実な発信」となり、ウォッシュ懸念を払拭しつつファンを増やすことに成功しています。

また、これらは外部へのブランド浸透のみならず、グループ内の相互理解を深め、組織を超えた対話とシナジーを生み出すインターナルブランディング の基盤 としても機能しています。

未来のステークホルダーである子どもたちや学生に向け、自社の知見を活かした独自の教育プログラムを展開する企業も増えています。

高校生が3日間のワークショップを通じて楽天社員や地域住民とともに地域の未来を考え、テクノロジーを活用した2030年のアイデアを立案するプロジェクトです。

ものづくり企業ならではの知見を活かし、製品を通じた社会課題解決を伝えるオンライン授業プログラムです。学生一人ひとりが目指したい未来について考える機会を提供しています。

水まわりの商品を題材に、環境や節水、ユニバーサルデザインを学ぶ出張授業をオンラインで実施。教育の地域格差が出ないよう、都市部以外の小学校を中心に遠隔で実施している点が特徴です。

ここまで先進企業のエクスターナル・ブランディングの事例を見てきましたが、ここで一つ、重要な注意点があります。それは、「社外向けの発信だけを綺麗に飾っても、本質的なブランディングにはならない」ということです。

もし、社外向けに素晴らしいパーパスや環境への貢献を語っていても、現場の社員が「自社のサステナビリティ活動なんて、ただの綺麗事だ」と冷めていたらどうでしょうか。発信内容と実態のギャップはいずれ社外に露呈し、それこそが「ウォッシュ」という厳しい批判を招く原因になります。

ブランディングを成功させるためには、経営層が掲げるパーパスやビジョンがまず社内に浸透し、社員一人ひとりがそれを「腹落ち・納得」して自分の仕事に引き寄せる(自分ゴト化する)という、インターナル・ブランディング(社内浸透)との整合性が不可欠です。

社員が内発的な動機を持って行動変容し、自らがブランドの体現者となるからこそ、商品開発や取引先との商談、特設サイトでの情報発信といったあらゆる接点において、社外の心を動かす本物のメッセージが伝わります。そして、社外から得られた「素晴らしい取り組みですね」という評価が社内にフィードバックされることで、社員はさらに自社への誇りを深めていきます。
この「社内外の両軸が噛み合った好循環」を設計することこそが、リスクを恐れる守りの姿勢を脱却し、選ばれ続けるブランドになるための唯一の道なのです。

サステナビリティにおける社外向けの情報発信や活動は、単なる「義務としてのレポート公開」ではありません。自社の存在意義を社会に問いかけ、志を同じくするパートナーやファンと出会うための「未来への投資」です。
しかし、「自社らしさをどうストーリー化すればいいのか分からない」「ウォッシュと言われない透明性をどう担保すべきか」と、最初の一歩に悩まれるのも無理はありません。
「サステナブル・ブランド・ジャーニー」を運営する株式会社YUIDEAでは、これまでに培ったサステナビリティに関する専門的な知見と、生活者視点・ダイレクトマーケティングのノウハウを活かし、企業の「攻めのブランディング」をトータルでサポートしています。

貴社の課題や状況に応じた最適なプランを、共に伴走しながらご提案させていただきます。サステナブル・ブランド・ジャーニー編集部までお気軽にご相談ください。

国内先進50社の動向をまとめた最新調査レポートのダウンロードはこちら

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WRITERこの記事を書いた人

Keiko YOSHIDA
Keiko YOSHIDA

広告代理店の営業を経て、2009年にYUIDEA入社。当時、環境報告書/CSR報告書をはじめ会社案内や社内報など、コーポレートコミュニケーションに関するアカウントマネジメントを担当。
その後、自社のデジタルサービス事業やダイレクトマーケティング事業で、マーケティング、アカウントマネジメントに従事したのち、2023年秋よりサステナブル・ブランディング事業に配属となり「サステナビリティ」をテーマにしたコミュニケーションの企画設計・実行を担当。二児の母。B.LEAGUE(バスケ)観戦が好き。

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