「世界はたのしく変えられる。」子どもたちの熱量が社会を動かす、Jリーグ×次世代の共創プログラム「サストレ」全国発起

文化 / スポーツ
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持続可能な社会の実現に向けて、私たち一人ひとりは何ができるだろうか。そのことを考えるひとつの取り組みとして、「スポーツの熱狂」と「次世代との共創」を掛け合わせたプロジェクトが始動しました。

2026年4月22日のアースデー、「サストレジャパンプロジェクト」の本格始動を告げる記者発表会が開催されました。本プロジェクトは、小学校5年生の探究学習の授業内で、サッカークラブをハブに「企業・地域・教育」が連携し、次世代の「サステナプレイヤー(持続可能な社会の創り手)」を育成する「サステナビリティトレーニングセンター(通称:サストレ)」を全国展開していくプロジェクトです。

会場には、プロジェクトを主導する株式会社shikakeruの上井代表と、参画するJリーグ5クラブ(湘南ベルマーレ、ガンバ大阪、レノファ山口FC、アビスパ福岡、ギラヴァンツ北九州)の担当者が集結しました。

この発表会、そして後半に行われた大人と子どもが混ざり合うワークショップを通じて感じたのは、多様な人を惹きつけ、一つにする「スポーツの求心力」と、子どもたちの柔軟な発想が大人たちの固定観念を打ち破る「共創の力強さ」でした。

プロジェクトを主導する株式会社shikakeruの上井代表

株式会社shikakeruは、スポーツの多面的な力を活かし、社会課題を「誰もが熱狂し、思わず参加したくなるアクション」へと変換する共創アクション・クリエイティブカンパニーです。同社の上井代表は、長年ファシリテーターとして「対話しながら皆で仕掛けていこう(共創)」という姿勢で多数のプロジェクトに関わってきました。その知見を活かし、「スポーツ×サステナビリティ」の探究学習を起点として新たに立ち上げられたのが、次世代の「サステナプレイヤー」を育成する教育プログラム「サストレ」です。

この取り組みは、日本サッカー協会が優秀な選手を育成するために整備した「トレセン制度」をモデルにしており、サステナビリティの分野でも地域や世界で活躍できる人材を育成することを目指しています。

背景には、世界一長時間労働とも言われる日本の学校の先生が、学習指導要領で求められる探究学習を進める上で、「多忙さ」「学校外との繋がりの欠如」「研修時間の不足」といった課題を抱えている現状がありました。

これらを解決するため、サストレでは、単なる知識の習得(インプット)や発表で終わらせるのではなく、自分たちの暮らすまちを「みんなが住み続けたくなるまち」にするためのアイデアを描き、以下の「4ステップ」で頭も心も体も動かしながら実行するまでを体系化しています。

1.「まなぶ」: Jリーグクラブやサステナビリティに力を入れる地域企業の事例から世界の最新事例まで、幅広くサステナビリティの基礎を学ぶ。
2.「えがく」: 「みんなが住み続けたくなるまちとはどういうまちだろう?」というシンプルな問いをもとに、持続可能な地域になるためのアイデアを自由に描く。
3.「まざる」: 子どもたちのアイデアに対し、企業が本気でフィードバック。多様な視点が混ざり合い、アイデアに現実感が増し、ブラッシュアップされていく。
4.「うごく」: 描いたアイデアを実際にスタジアムや学校、地域イベントで実行。自分たちの力で社会が少しずつ変わっていく手応えを実感する。

まずは自由にアイデアを描き、学校の中で自分たちができることをやってみたり、時には学校の外に出て、地元企業や商店、そしてサッカークラブと一緒にアクションをしていくことで、自分たちの身近なところから、本プロジェクトのコンセプト「世界はたのしく変えられる」を実感・体現していきます。

サストレでは、サステナブル=「みんなが、住み続けたくなるまち」と定義しています。プログラム内では、「みんなが、このまちに住み続けたくなる○○って何?」というシンプルな問いを子どもたちに投げかけます。○○に入るのは、駅や海、お店、公園、学校、スタジアムなど、身近なもの。この問いに対して、子どもたちが調べ、アイデアを考え、まちの未来を描き、そこに大人たちが混ざり、できることを考えていきます。

記者会見後に行われたワークショップでも、子どもたちと大人がまざり、共に「2040年に住み続けたくなる未来のまち」を描きました。子どもたちからは、「Wi-Fiが繋がる公園」や「食べられる芝生のスタジアム」、「動物と一緒にサッカーの試合を観戦できる動物園」など、ユニークなアイデアが次々と飛び出し、サポートに入る大人や記者たちを驚かせました。

サストレの紹介の中で、大人も子どもも「自主的」に動くという言葉が何度も出てきて、「サステナプレイヤー」を育成する大事なポイントだと感じました。子どもたちが能動的に喜んで本プロジェクトに参加し、自主性が生まれるのはなぜなのでしょうか。

上井代表は、子どもたちの自主性を育むために意識していることを大きく2つ教えてくれました。1つ目は、「サッカークラブのユニフォームをみんなに配ること」。野球ファンの子も、サッカーに興味がない子も、皆でユニフォームを着ると一気に『楽しい!』とスイッチが入るそう。

2つ目は、「いきなり座学で“学ぶ”ことから入らないこと」。みんなで一緒に体を動かしアイスブレイクをするといった楽しさから入り、そのあとに、正しさを学び、失敗を経験してみたりする。サッカーのメタファーを上手に活用しながら能動性を引き出しているそうです。

2024年6月に先行して、湘南ベルマーレと茅ヶ崎市が連携しサストレの実証をした事例では、いくつものアイデアが実現。農家で廃棄されるはずだった大根を活用した「サステナ給食」を考案したり、「サステナカレー」をスタジアムで販売したり、子どもたちと保護者も含め2校で1000人以上を動員したサステナイベントを開催したりと、具体的なアクションへと繋がりました。

上井代表は、「世界ではなくても、目の前の地域、自分たちが住んでいる場所は変えられるんだという実感が芽生えている」と手応えを語ります。事実、5年生でサストレを経験した子どもたちが、6年生では自主的に廃棄されるローゼルを活用した商品企画を地元の飲食店と行いました。

茅ヶ崎市立の小学校の先生は、5年生の時の楽しかった経験を経た子どもたちが自分たちで動き出す姿を見て、「社会課題を本気で自分ごととして考え、動ける子どもたちに『たった1〜2年で、ここまで変われるのか』と、私自身が何度も驚かされました」と語っています。

現在、全国5つのエリア(湘南、大阪、山口、北九州、福岡)で本格スタートした「サストレジャパンプロジェクト」。各クラブの狙いや熱意も、記者会見で力強く語られるなかで、多世代が集まる地域の「場づくり」がスポーツクラブの強みというお話がありました。

スポーツとサステナビリティを結びつける最大の接点は、まさにこの「地域づくり・まちづくり」だと思います。「みんなが、住み続けたくなるまち」も、子どもたちだけでは実現ができません。鍵となるのは、スポーツの熱狂と、地域の大人たちです。

共創コミュニティを広げていくための仕掛けとして、2030年までに1万人の「サステナプレイヤー」を育成することを目指し、「サストレジャパンプロジェクト」に参画するサッカークラブを募集しているほか、子ども向けのプログラムだけでなく大人に向けた「サストレコーチ研修」も用意されています。

このサストレの取り組みについて、聖心女子大学の永田佳之教授は「1人の100歩より、100人の1歩をつくるプロジェクト」と表現しています。

サステナビリティは、決して一部の専門家や企業担当者だけの取り組みではありません。サッカークラブをハブとし、次世代の熱量に大人が伴走する「サストレ」のように、誰もが当事者として「社会に良い影響を与えている実感」を得て行動することが、地域社会を変えるうねりとなり、やがて持続可能な「文化」として定着していくのだと感じました。

「世界はたのしく変えられる。」――いきなり大きな世界を変えようとする必要はありません。「まず、目の前の地域・住んでいる場所を住み続けたくなるまちに変えていく」。未来をつくるのは、特別な誰かではなく、私たち一人ひとりの一歩です。

(参考サイト)
株式会社shikakeru公式サイト/ニュースページ
2030年までに1万人のサステナプレイヤー(持続可能な社会の創り手)を全国各地で育む「サストレジャパンプロジェクト」に参画するサッカークラブを大募集!
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WRITERこの記事を書いた人

Kaori KONDA
Kaori KONDA

新卒では広島の出版社にて地域観光プロモーションに従事。広告代理店でのSNSマーケティングやデジタル広告運用を経て、2026年4月、株式会社YUIDEAに入社。
前職で地域のサステナブルな取り組みを取材したことを機に、その土地の風土を活かした持続可能な在り方に関心を持つ。地産地消や観光を通じて経済が巡り、地域の営みが未来へ続いていくことを願い、自分にできることを模索中。
趣味は登山。山頂からの眺めと、下山後、地元のご飯と温泉を楽しむことに幸せを感じます。

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