魚を守る選択を、今日から。 ──MSCラベルと、ココリコ田中さんが伝える“海の未来”
(2025.6.23. 公開)
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「魚がいなくなる日が来るかもしれない」。そう聞いても、どこか遠い話に思えるかもしれません。
しかし実際には、世界の海では魚の約38%が、持続可能な水準を超えて漁獲されているという深刻な状況が続いています。
このままでは、私たちが当たり前のように食べてきた魚が、近い将来食卓に並ばなくなるかもしれない…。
そんな未来を変えるための鍵となるのが、「MSC認証」と呼ばれる海のエコラベルです。
その魚、どう獲られた? MSCラベルが教えてくれること
MSC認証の基準は3つ──①魚の資源を枯渇させない、②海の生態系を守る、③漁業の管理体制が整っている
この条件を満たした漁業だけが認証を受けることができます。さらに、加工・流通・販売の各段階でトレーサビリティ(追跡可能性)が確保されていることも求められます。
最近では、生鮮魚だけでなく、冷凍食品やレトルト、缶詰、ファストフードの商品など、身近な食品にも広がっているMSC認証。消費者は、この認証ラベルがついた商品を選ぶだけで、サステナブルな漁業を支える当事者になることができるのです。
とはいえ、MSC認証といわれてもピンとこない人の方がまだまだ多い現状。
それを受け、一般社団法人 MSCジャパン(以下、MSCジャパン)は、エンタメの力を借りて、“海の未来”をもっと身近に感じてもらうためのキャンペーンを毎年行っています。
笑って学べる、海のリアル
6月上旬に開かれた「海の恵みをもっと、ずっと。選ぼうMSCラベル」キャンペーン記者発表会には、MSCアンバサダーとして8年目を迎えるココリコ田中直樹さんをはじめ、“サステナブルアイドル”として活動するオーヴ(AuB)、お笑いコンビのガクテンソクらが登壇。
新たなキャンペーン動画を発表し、笑いを交えながら海の課題について考える場がつくられました。
今回の動画は、田中さんとオーヴによるコント仕立ての内容。ダンス練習中のオーヴに、田中さんが何度も「海のエコラベル」の話をしにくるというもの。
会見のなかで田中さんは、かつて豊富に漁獲されていたカナダ・グランドバンクスのタラが、乱獲によって激減し、1992年には漁が完全にストップ。約4万人が職を失ったという実例を紹介しました。
「魚がいなくなると、魚を食べられなくなるだけでなく、仕事も、暮らしも、失われる。これは他人事ではありません」
魚の乱獲が続けば、魚の減少によって海の生態系が変わるだけでなく、漁業に携わる人や私たちの食卓にも大きな影響を及ぼします。
また、水産資源の乱獲がもたらす影響は、海の生き物や漁業者にとどまりません。生態系のバランスが崩れれば、海藻が育ちにくくなり、結果的に海岸の砂が流出する「海の砂漠化」と呼ばれる現象も進んでしまいます。
こうした変化は、日本の沿岸にもすでに広がりつつあり、地域の食文化や観光業にも影響を与えかねません。
「遠い話」じゃない──日本の魚も危機にある
魚の乱獲問題は、決して海外だけの話ではありません。
たとえば、日本人にとって馴染み深いうなぎやクロマグロなども、資源の減少が深刻化しています。
うなぎの漁獲量は1980年代から90%以上減少し、今では“絶滅危惧種”に指定されているほどです。
また、日本におけるMSC認証の認知度は22%(2023年時点)と、まだまだ低い状況です。選択肢としては存在していても、「知らないから選べない」状態にある人が多いといえるでしょう。
MSCを通して海の現状や海を守る方法をより多くの人に知ってもらうためにも、今回のような“知るきっかけ”を届ける取り組みは、とても重要です。
アイドルも、芸人も。「知らなかった」から始まる変化
この日登壇したオーヴのメンバーは、廃棄漁網を使って作られた衣装で登場。彼ら自身も、今回の活動を通じて初めて海のエコラベルを知ったといいます。
「アイドルとして、音楽やエンタメと一緒に届けることで、ファンの方たちに伝わることがあると思う」(佐野さん)
「自分たちが発信することで、知らなかった人が“へぇ”って思ってくれたらいい」(浦野さん)
一方のガクテンソクは、「物価高や食の問題が身近になってきた今だからこそ、ちゃんと知って選ぶことの意味が腑に落ちた」と語るとともに、「ラベルがあることに気づきにくい」として、「ラベルをもっと大きくしては?」というユニークな提案も飛び出しました。
今日からできる、小さなアクション
田中さんは会見の最後に、こう呼びかけました。
「今日をきっかけに、スーパーやコンビニで買い物をするとき、ラベルをちょっとだけ意識してもらえたらうれしいです。
それだけでも、海の生き物を守ることにつながります」
海の未来を変えるために必要なのは、大きな行動ではありません。
まずは「知ること」、そして「選ぶこと」から始まります。
魚を未来につなぐ、私たちの選択
MSCの青いラベルは、未来の海を守るための意思ある選択のしるしです。
このラベルがついた商品を選ぶ人が増えれば増えるほど、持続可能な漁業も広がる可能性が増えていきます。
「魚を守る選択」を、今日から。
青いラベルを見つけたら、ぜひ立ち止まって、海の未来を思い出してみてください。
■執筆:contributing editor Chisa MIZUNO
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