新たなマーケティング定義から考える「サステナビリティ」 〜「サステナビリティ社内分断」を超えていくために〜

(2024.2.15. 公開)


#サステナビリティ #マーケティング #持続可能性 #セミナー#SDGs #社内浸透プログラム#サステナビリティ研修 #価値創造

日本マーケティング協会は2024年1月25日、なんと、34年振りにマーケティングの定義を刷新しました。新しいマーケティングの定義は以下となっています。

(マーケティングとは)顧客や社会と共に価値を創造し、その価値を広く浸透させることによって、ステークホルダーとの関係性を醸成し、より豊かで持続可能な社会を実現するための構想でありプロセスである。
注1:主体は企業のみならず、個人や非営利組織等がなり得る。
注2:関係性の醸成には、新たな価値創造のプロセスも含まれている。
注3:構想にはイニシアティブがイメージされており、戦略・仕組み・活動を含んでいる。
出展:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000122632.html

YUIDEAでは、この新しい定義がされる以前から「サステナビリティ(持続可能性)」を軸にマーケティングやコミュニケーションの支援を行い続けています。それは「世の中にある価値をアクティブに」という私たちの想いの、特に価値の部分において「サステナビリティ」は欠かせないものだと考えているからです。

しかし、新しいマーケティングの定義がされたとしても、サステナブルな社会の実現が、本当にビジネスにつながるのか?利益を生み出すのか?日々数値に追われているマーケターやビジネスパーソンにはどうしても、「自分ごと化」することは難しい現実があると思います。


■ 「サステナビリティ」の社内浸透に苦心する担当者

YUIDEAでは定期的に「サステナビリティ」に関する様々な観点からのオンラインセミナーを開催しています。そのセミナーにご参加いただいた皆様からのアンケートでわかったことが、「サステナビリティ」に関する圧倒的に高いニーズが「社内浸透・社内理解」であるということでした。
以下の図を見ていただいても分かるとおり、64%の参加者が現在直面している課題として「サステナビリティをテーマとした社内浸透・社内理解促進」を挙げています。

サステナビリティレポート、統合報告書、ウェブサイトなどでのサステナビリティに関する情報開示なども含め幅広い支援をしている弊社ですので、セミナーにご参加いただく方も「サステナビリティ」に対する企業活動に責任のある方や、高い意識を持っている方たちです。
そういった参加者の皆さまの声からも、「サステナビリティ」がビジネスやマーケティングに繋がっていることに対する社内の理解が得にくい、または理解度に差があるなど、所謂「サステナビリティ社内分断」が起こっているという課題を耳にする機会も増えているという実感があります。具体的な声としてアンケート回答の一部を提示させていただきます。

「社会環境から求められている状況と、社内との温度差」
「サステナビリティについてトップや社内の理解が進まず担当部署の負担が大きい」
「『選ばれる基準』が変化していることの社内浸透が追いついていない」
「従業員がしっかりサステナビリティを理解していないため、誤った発信がどこでも起きてしまうことの危惧」
「弊社内の、特に営業担当のサステナビリティ理解不足を解消したい」


■ 「サステナビリティ社内分断」の要素

しかし、実際には社会では「サステナビリティ」という言葉や「サステナビリティ経営」に対する認知は高まってきてはいます。サステナビリティ経営に関しては、1年間で、認知度が27%も高まっており、社内の情報発信も含めて全ての人が耳にする機会は増えていると感じている人は多いのではないでしょうか。


出展:https://www.daido-life.co.jp/knowledge/survey/202209.html

しかし私たちが具体的にいただくご相談では、以下のような内容が多くあります。

・ 「社員が自身の業務と結びついておらず、アクションにつながっていない・業務に活かせていない」
・「サステナビリティを軸に開発された商品があるものの、社員が理解できておらず商談先にうまく説明ができていない」
・「売り場で生活者に、サステナブルな自社の活動や商品の概要を伝える必要があるが、社員が価値を理解できていないため、良さを分かりやすく伝えることができない」

地球環境戦略研究機関(IGES)がまとめた「コロナ禍を克服するSDGsとビジネス(2020)」*の調査結果でも、サステナビリティ経営やマーケティング、コミュニケーションを取り組むうえでの課題として、上位三つが「定量的な指標など評価方法がわからない(51%)」、「中間管理職の理解度が低い(47%)」「一般職層の理解度が低い(46%)」となっており、社員への理解・浸透が課題の多くを占めています。
*出展:https://www.iges.or.jp/jp/pub/sdgs-and-business-covid-jp/ja


■ YUIDEAが提案する「対話」を中心にした社内浸透プログラム

そんな課題感を解決するために、YUIDEAでは社員同士の「対話」を中心にした「サステナブル・ブランディング研修プログラム」を提供しています。みなさんご存知のSDGs(持続可能な開発目標)も全てが繋がりあっていますし、身近な自分自身の興味や関心を認識することで、自社の取り組むサステナビリティの課題を難しく捉えず、「対話」を通して自分ごと化することが可能となると考えているからです。

実施をさせていただいた某企業様の例では、100名近い参加者の8割以上が「満足」と回答し、定期的な研修実施を希望すると回答してくださいました。
何より「対話」を通して、自分の考えを言語化することで「会社の中だけではなく、普段の生活(見聞きするニュース)からサステナビリティへ対する意識が高まった」など、「行動変容」に繋がったと回答してくださった参加者が多くいらっしゃいました。

私たちがポイントを置いているのは、対話を促すための「問い」の設定です。それぞれの企業が、それぞれのサステナビリティへの想い、そして浸透への課題感がありますが、その状況を詳しくお伺いし、適切な「問い」をたてることを重視しています。意味ある「問い」を持つことは、人の思考と感情を刺激しますし、集団の対話というコミュニケーションを誘発します。結果として、新たな意味やアイデアを創発しやすくなるとされています。「答え」のないサステナビリティに関することだからこそ、対話のために必要な「問い」を考えることはとても重要なのです。


■ ビジネスモデルにサステナビリティ視点を盛り込む意味

すでに、ビジネスモデルにサステナビリティの観点を盛り込み、企業価値を向上し続けている企業は多くあります。最後にAirbnbが2017年から展開しているローカル体験提供のサービスである「Trips(トリップ)」の一つのラインナップ「Social Impact Experience(社会貢献体験)」をご紹介したいと思います。

皆さんご存知の通り、Airbnbは「シェアリング・エコノミー」という言葉を定着させた企業であり、物件の所有者(ホスト)は、空き部屋や空き家をAirbnbに登録し、希望者(ゲスト)に貸し出すことが出来るサービスをメインに展開しています。また、同社は積極的な社会貢献活動を展開しており、2023年、世界中のコミュニティ支援を目的に、6大陸44の国・地域における120以上の非営利団体に対して「Airbnbコミュニティ基金」からの支援を提供しています。

同社が提供している、「Social Impact Experience(社会貢献体験)」には、実に様々なものがあります。例えばロサンゼルスのホストが提供するのはアーバン・ガーデニング体験で、ゲストの参加費用はロスの緑化を進める「The Ron Finley Project」に寄付される仕組みになっています。

一つの体験は数時間のものから数日間まで様々ですが、Airbnbはこの「社会貢献体験」についてはゲストの参加費用をホストとなるNPOなどに全額寄付しており、一切手数料をとっていません。多くの社会課題に取り組む非営利団体にとっては、この「社会貢献体験」は運営のための資金のサポートとなる以上に、活動への理解や体験の共有を通じて本質的に課題や活動の理解を広く啓発できるものだと感じているはずです。

同社のパーパスは「Creating a world where anyone can belonging, anywhere. (誰もが、どこでも『居場所』がある世界をつくる)」ですが、「社会貢献体験」をはじめとした様々な取り組みは、社員がパーパスの意味を実感し、そして自社に対する価値やエンゲージメントを再認識することに寄与しているように思います。

「必要に迫られる」ことで進めるサステナビリティではなく、サステナビリティとビジネスのつながりの理解、そして組織と社員が連動した想いが新たなビジネスの価値を創造する時代になっています。

YUIDEAの「サステナブル・ブランディング研修プログラム」ダイジェスト版は下記よりダウンロード頂けます。


「サステナブル・ブランディング研修プログラム」に関するより詳しい内容やご提供事例については個別にご案内させて頂きますので、下記よりお問い合わせください。
Sustainable Brand Journey編集部
mail: sb-journey_ml@yuidea.co.jp

出展:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000033.000016248.html
https://news.airbnb.com/ja/airbnb%E3%80%81%E4%B8%96%E7%95%8C%E4%B8%AD%E3%81%AE120%E4%BB%A5%E4%B8%8A%E3%81%AE%E9%9D%9E%E5%96%B6%E5%88%A9%E5%9B%A3%E4%BD%93%E3%81%AB%E5%AF%BE%E3%81%97%E3%80%8Cairbnb%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%A5/
https://ideasforgood.jp/2017/01/19/airbnb_social_impact_experience/

お問い合わせはこちら