「おいしくて、手軽で、社会によい」
サステナブルへの想いと現実のギャップを埋める
インパーフェクトの取り組みとは?

(2023.9.25. 公開)

#コラボレーション #パートナーシップ #エシカル消費 #社会課題 #ジェンダーギャップ #環境

 「Do well by doing good.(いいことをして世界と社会をよくしていこう)」をコンセプトに、社会的・環境的価値の高い取り組みを通じて生産したカカオ、ナッツ、コーヒーなどを掛け合わせた「おいしさ」を届けるインパーフェクト

現在、表参道のカフェ&ショップとECサイトでウェルフードを展開している同社が、8月より全国のローソンにて「imperfectカカオ香る大人のカフェモカ」と「imperfectナッツ香るアーモンドプラリネアイス」の2品を、期間限定で発売した。

ローソンとのコラボレーションの背景やこだわり、コラボレーションを通して目指していることについて、インパーフェクト代表の佐伯美紗子氏に話を伺った。


「消費者の意識を変えるには?」を常に考える

インパーフェクトは創業時から世界の食と農を取り巻く社会課題の解決を目指し、児童労働を行なっていない、持続可能な農業に取り組んでいる、といった農家から仕入れた原材料を使用するほか、売り上げの一部を活用してシーズンごとに農家の方々と共に行うプロジェクトがお客様の投票によって決まる仕組みを導入している。
その名の通り「たとえ不完全(インパーフェクト)な取り組みだとしても、自分たちに出来ることから少しでも世界と社会をよくしていこう」という想いで事業を展開しているインパーフェクトが、想いを実現する手段の一つとして行っているのが、2022年から始めたローソンとのコラボレーションだ。

佐伯代表(以下、佐伯)「表参道のショップは消費者と直接コミュニケーションをとることを目的としています。サステナブルな消費を盛り上げていくには、消費者の意識が変わっていくことが欠かせません。そのため、『消費者の意識を変えるにはどうしたらいいか?』について私たちは常に考えているのですが、その鍵のひとつが『知って、共感してもらうこと』です。

『おいしい』『かわいい』と思って手に取ったコーヒーやアイスが、実は社会のためにいいことをお客様に知っていただき、『自分たちも社会を良くしていくための活動に気軽に参加できる』『不完全でも、一歩踏み出すことが大事なんだ』と共感していただくことによって、サステナブルの輪が広がっていくと感じています」


表参道ヒルズの1階にあるインパーフェクト表参道店、表参道駅から徒歩2分と訪れやすい立地


サステナブル消費に関する3つの課題

サステナブルという言葉は現在すっかり浸透し、多くの企業がサステナブルな活動にチャレンジしている。サステナブルな活動に興味があるという人も増えているのに、実際にサステナブルな商品やサービスを選択する人はまだ少数派だ。消費という面でサステナブルが広がらないのは、どのような課題があるからだろうか?

佐伯「サステナブルの盛り上がりと実際の消費活動のギャップには、大きく3つ理由があると思います。
一つめは、サステナブルな商品は一般的なものよりも値段が高い、あるいは高いというイメージがあること。
二つめは、消費者が買いたいと思ったとしても、売っている場所がわからなかったり、限定的なところでしか売っていなかったりするということ。いわゆるリーチの問題です。
三つめは、商品やサービスがどのような課題解決につながっているのか、購入したことによって自分がどう貢献しているのか、その実感がわきにくい人たちが多いこと。サステナブルという言葉が浸透しているがゆえに、『本当なの?』と懐疑的な人も多いのではないでしょうか。

私たちは、コンビニエンスストアにインパーフェクトの製品を取り扱っていただくことが、これらのギャップを埋めることにつながると考えました。

コンビニは、日々の生活導線上で気軽に立ち寄ることができる場所であり、販売している商品は手に取りやすい価格のものです。そういった場所で、原材料の透明性や購入金額の一部がどのように社会課題に使われているのかを明確にしたインパーフェクトの製品を発売し、世界や社会にもよい素材を活かした『おいしさ』を届けることができたら、リーチ、価格、懐疑心といったギャップを埋めることにつながり、持続可能な社会の実現に資する行動は『特別なこと』ではなく、『毎日の生活の中で気軽に取り組めること』に変わるのではないでしょうか。それは、消費者の意識を変えることにもつながると思います。

また、年齢や性別を問わず、多くの方が訪れるコンビニにインパーフェクトの製品が置かれることで、私たちは表参道のショップとECサイトという限定された場所ではリーチしきれない多くの方々に製品を知ってもらうことができます。より幅広い層に会社の想いや活動内容、展開する製品の認知を広げていくのにコンビニはぴったりな場所でした」

 農家の自立や環境保全への取り組みを行いながら生産された原材料を使用した製品が並ぶ、表参道ショップ 


流通特性に合わせつつ、
ブランドらしさとメッセージを伝えるデザイン

ローソンでの販売にあたり、製品についてはどのような点を工夫したのだろうか?

佐伯「コンビニというチャネル特性においては、目立つこととおいしいことが重要なので、社会課題を解決したいというブランドの想いや具体的な活動をお知らせしつつ、目を引くデザインや、おいしそうに見えること、そして製品自体のおいしさにもこだわりました。

まず、パッケージは、サステナブルに関心がない方でも手に取りたくなるようなおいしさを感じさせるデザインでありながら、インパーフェクトがもっている大人っぽさや上品な雰囲気を保ち、社会還元活動も伝えていくにはどうしたらいいか?を考えました。
『おいしそうに見えること』は表参道のショップでもこだわっている点なので、カフェモカの泡立ちやクリーミーさ、キャラメルのくちどけの良さなど、いわゆるシズル感を大事にしています。また、ロゴの縁取りをはじめ、ゴールドを印象的に使うことで、高級感やあたたかみ、やわらかさを表現しました。

社会還元活動については、背面にメッセージとQRコードを配置しました。手に取って、おいしさを感じていただき、裏返すと私たちの活動を詳しく知っていただくことができる、さらに興味があればQRコードでインパーフェクトのサイトに飛んでいただき、具体的な取り組み内容を深堀できるという流れをつくっています。日頃サステナブルなことに興味がない方々にも、口にするコーヒーやチョコレートを誰がどのようにつくっているのかに関心をもつきっかけになることができればと思います。

おいしさについては、カフェモカに使用するココアやアーモンドアイスのアーモンドはショップで取り扱う製品と同じものを使用しています。こだわりの原材料を使いつつ、コンビニで取り扱いやすい形態を意識して、カカオの素材のおいしさを引き出して甘くしすぎないといった味の調整を行いました。価格については、全国1.5万店での取り扱いというスケールメリットによって200円以下を実現しています」


「imperfectカカオ香る大人のカフェモカ」と「imperfectナッツ香るアーモンドプラリネアイス」


『おいしくて社会のためになる』を手軽に

実際に商品を購入したお客様の反応はどのようなものだったのだろうか?

佐伯「全国のローソンとナチュラルローソンで、これまで4回の取り組みを行ってきましたが、お客様に伝えたかったことが伝わっている実感があります。
インパーフェクトの商品を購入した方々から『おいしくて社会のためになっているというのがすごい』という声を数多くいただきました。おいしさへのポジティブな反応とコンセプトへの共感が両立したと感じています。
コンビニに新商品を投入すると、一般的には導入時期の動きが一番良く、だんだん勢いが下がっていくそうですが、インパーフェクトの製品については、発売後ずっと安定した動きでリピート発注が続き、大変ありがたいことに予想よりも早く売切れとなってきました。
ローソンの店頭で手に取り、はじめてインパーフェクトの存在を知ったという方がほとんどですが、女性に偏ることなく、20~30代の男性も購入しています。『今後も定期的に発売してほしい』『ドリンク以外の製品も発売してほしい』といった声をいただいていたので、今回はドリンクだけでなくアイスも同時に発売しました。

オーガニックやヘルシーという製品は数多く取り扱ってきたローソンでも、『これは誰かの役にたっています、社会にとって良いものです』というメッセージを全面に打ち出した製品の発売はなかなかなく、ローソンの方々も最初は『こういった社会性の高い製品がコンビニで本当に売れるのだろうか?お客様の手にとっていただけるのだろうか?』と心配されていた部分もありましたが、結果的にどの製品も想定していた数量を予想よりも早く売切れとなり、最新のものについては製造量をあらかじめ増やし、カテゴリーも拡大して発売することになりました。


アーモンド生産に重要な役割を果たすミツバチを守るための自然環境保護などの取り組みを通じて生産されたアーモンドを使用した「imperfectナッツ香るアーモンドプラリネアイス」

ローソンとのコラボレーションは私たちにとっても認知や販路の拡大として大きな意味がありましたが、世の中全体にとっても意味のある一歩になったと思っています。
発売以降、SNSを通じて多くの方々から『コンビニで気軽にこういう製品を買えることがうれしい』『社会や環境にいいものがコンビニで買えることに驚いた』というメッセージをいただいています。今回のコラボレーションはサステナブル消費の課題である『どこで買えるの?』に対する一つの解決策になりましたし、こういった動きがもっと広がればと思います。また、『社会性が強い製品も売れる』という実績をつくれたことで、他の流通からもお声がけをいただくようになりました。まだまだ規模の小さい企業なので、さまざまな企業と協働し、展開の規模を広げていきたいと思います」


消費者、企業、世の中全体を巻き込んでいきたい

今後インパーフェクトが取り組んでいきたいことについても伺った。

佐伯「企業とのコラボレーションに加え、取り組む社会活動プロジェクトの数や実施する国も増やしていきたいです。プロジェクト活動は、環境、教育、平等の3つのテーマについて行っていますが、こちらについても私たち1社でできることは限られているため、消費者、企業、世の中全体を巻き込んでいく必要があります。そのきっかけづくりをインパーフェクトが担っていきたいです。環境問題や貧困、ジェンダーギャップの実態にプロジェクトでどのようにサポートしていけるのか、どのような変化をもたらすことができるのかといった情報を積極的に発信し、流れを生み出していければと思います」

プロジェクト活動の一環として行っている、女性たちの農の学びを支えて活躍の場を拡大するという就労支援はどのようなものなのだろうか?

佐伯「国や地域の状況によってサポート内容が異なるのですが、ガーナを例にあげると、カカオ農園に従事している女性たちは、文化的な背景もあってビジネスにおいてはサポートする役割にとどまっていることが多いものの、もっと活動したい、ビジネスをリードしていきたいという想いを持つ方もいらっしゃいます。そういう方たちに文化障壁などを取り除いてもっと生き生き活動する環境づくりをするお手伝いを行っています。
たとえば、カカオを育てていない時期に栽培しているキャッサバの栽培、加工、マーケティングの支援があります。キャッサバはそのものを売るよりも、粉砕し加工品にした方が、付加価値がついて高く売ることができるので、加工機等の設備投資費用を提供させていただき、その加工や販売については希望する女性たちにリードしてもらう。栽培や販売に関しても女性たちが積極的に発言する機会を設けることで、それまでは男性の後ろに座って発言することがなかった女性たちがどんどん前にでて意見を交換するようになってきています。こういった一連の活動を通して女性たちに社会に関わる楽しさを知っていただくお手伝いを現地の仲間と一緒に行っています。


キャッサバの栽培と販売に主体的に携わるカカオ農園の⼥性たち

2019年にスタートしたインパーフェクトですが、この4年の間でさえ、コロナ禍を経て社会が大きく変化しました。世の中全体が環境や社会への意識への高まりを強く感じます。
そのような時代だからこそ、私たち生活者のみならず、世界や社会にとってもよい活動を、さらに多くの方々を巻き込みながら推進していきたいと思います。」

【参考】
Imperfect公式サイト


■執筆:contributing editor Chisa MIZUNO
#ウェルネス #ビューティ #コンセプトメーカー #全国通訳案内士

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