希望とパワーをくれる化粧品で「自分らしさ」を好きになる、エトヴォスのサステナビリティ

(2022.10.7 公開)

#コスメ #海洋保全 #コラボ #環境 #インターナルブランディング

サステナビリティへの取り組みが増えている業種のひとつに化粧品がある。ファッションやジュエリーと同様にビジネスにおいてブランドのイメージが重要であるだけでなく、快適さや機能性も重要なのが化粧品だ。
コロナ禍以降、政府や企業からのSDGsやサステナビリティについての発信が増え、企業の活動も活発に進められているが、以前より環境に配慮した製品づくりだけでなく、化粧品が持つ情緒的な側面からもポジティブな影響を与え続けてきたブランドがETVOS(エトヴォス)だ。

エトヴォスの製品やフィロソフィーを軸に、海洋保全活動をはじめとしたサステナビリティの取り組みを牽引するPRのティシュキン千晶氏に話を聞いた。


(株式会社エトヴォス PR ティシュキン千晶氏)

ハイヒールではなくスニーカーのように、心地よくのびやかな美しさを届ける存在でありたい

エトヴォスは今年15周年を迎えた日本の化粧品ブランドである。その誕生は、代表の尾川ひふみ氏が20代半ばで自らのニキビの悩みをまとめた情報サイトを立ち上げ、その延長で化粧品づくりを始めたことにある。
創業当時から肌への負担を最大限に抑え、敏感肌の人でも心地よく美しくいられるような製品づくりにこだわる同社は、肌への負担が少ないだけでなくトレンドもしっかりとらえ人気を呼び、ECだけでなく全国に店舗を展開している。
2020年にはLVMHグループ傘下に日本初のコスメブランドとして加わり、大きなニュースとなるとともにそのブランド価値を再認識させた。

エトヴォスが取り組むサステナビリティが特徴的なのは、製品やパッケージへの環境配慮だけでなく、“自分らしく自分自身を楽しめる生き方”の延長線上にある、自分を取り囲むものへのサステナビリティという意識があることだ。

「私たちは、ハイヒールではなくスニーカーのような存在でありたいと思っています。ハイヒールは人を美しく見せてくれますが、ずっと履いていると疲れてしまいますよね。私たちが目指す美しい肌は、ハイヒールのように無理をした美しさではなく、スニーカーのように心地よく呼吸できるような状態で美しくあることなんです。疲れず心地よく、無理せず自分らしく、それでいて美しく見せてくれる化粧品という存在を目指しています」

Photo by Karen Awaida (Unsplash)

ティシュキン氏は、その実現のための製品づくりのこだわりについて続ける。

「成分を選ぶ基準がまず本当に厳しいんですが、それに加えて、メイクはすべて石けんでオフできなければならないというのがあります。それをクリアできる成分がなかなかないのですが、研究してなんとか作り出してお届けしています」

化粧品は、ここにさらに重要な“トレンドを取り入れる”という要素も満たさなければならない。厳選された原料のみを用いて、日本の自社ラボで妥協のない研究開発を重ねるのは、創業者である尾川氏自らが肌あれに悩んだことから始まったブランドのDNAが、ブレることなく根付いている証拠である。無理なく呼吸できる肌で、自分らしい美しさを見つけて楽しんでもらいたい、その強い思いをひしひしと感じる。
肌へのコンプレックスを解消することは自己肯定感へとつながり、「自分らしさ」を大切にする心は、自分を取り巻く人や環境への配慮へともつながっていく。

サステナビリティ活動は継続することで意味を持つ

ティシュキン氏は、同社に入社する以前はニュージーランドに住んでいた。自然豊かなニュージーランドでは、日本に比べてはるかに生活にサステナビリティが浸透している。帰国後、ニュージーランドと日本の環境に対する配慮の違いに驚き、自分でも何かできないかという気持ちから始めたことのひとつのが、2020年に始め3年を迎える海洋保全活動「ETVOSと海を守ろうキャンペーン」だ。

「当時”SDGs“も”サステナビリティ“もまだ一般的ではなかったので、実は会社に提案した時は懐疑的な方もいました。でも、今じゃないとダメなんです!って(笑)、最終的にOKをもらうことができました」

その後サステナビリティの波は急激に押し寄せ、さまざまな形で企業が取り組みを進めているのは既知の通りだ。
活動を始めた2020年当時は、ブランドとして発信していても記憶に残らなかったとティシュキン氏は当時を振り返る。「継続は力なり」という言葉の通り、3年目にしてようやく手ごたえを感じているという。

サンゴの育成とともに、サンゴに害を与えないUVカット製品を広める

日焼け止めの成分は、「紫外線吸収剤」と「紫外線散乱剤」の2種類がある。
紫外線吸収剤は、吸収した紫外線を熱などのエネルギーに変換して放出し肌に届くのを防ぐ。一方、紫外線散乱剤は紫外線を肌の表面で反射・散乱させ、肌に浸透するのを防ぐ。
エトヴォスの長年の人気製品であるUVカット製品「ミネラルUVパウダー」「ミネラルUVベール」は、紫外線散乱剤であるミネラル(鉱石)によって日焼けを防ぐ。ミネラルとは自然界に存在するものであり、科学的に作られたものではない。


(沖縄の海でのサンゴの保護活動の様子)

「ETVOSと海を守ろうキャンペーン」では、ビーチクリーンに加えサンゴの保護活動を行う。減少の一途をたどり危機的状況にあるサンゴの苗を沖縄の海へ移植し、サンゴを捕食する海洋生物の駆除を行いながら、多くの人に向けて啓蒙活動を行う。環境に悪影響を与えることのない自然由来成分で作られたUVカット製品の利用者が増えれば、サンゴの保全につながる。

コラボレーションが結ぶ新しい出会い

2022年のキャンペーンでは、サステナブルファッションブランドECOALF(エコアルフ)とタッグを組んだ。エコアルフは、すべてのアイテムをリサイクル素材や環境負荷の低い天然素材のみで作る、ヨーロッパ発のブランドである。
このコラボレーションは、サステナビリティという共通点から、これまで接点のあまりなかった互いのブランドのファンに新たなブランドとの出会いをもたらした。互いのファンが増えることで活動がより活発になり、製品の購入者が増えれば増えるほど環境への良い影響も広がっていく。


(ECOALFとETVOSによるスペシャルコラボレーション BECAUSEボトル×ミネラルUVシリーズ)

サステナビリティの活動がもたらす社内外への影響

エトヴォスでは製品の化粧箱にFSC認証の紙やベジタブルインキを使用するだけでなく、PR発表会ではできるだけ環境に配慮した資材を使用し、さらには従業員の名刺も石灰石を主原料とし100枚で10Lの水を守るという素材を採用している。
これらは多くの人に知られることはないかもしれないが、そういったものに対しても環境への配慮を怠らないことが、ブランドの姿勢を表している。

またティシュキン氏は、「ETVOSと海を守ろうキャンペーン」をはじめとした外部への発信だけでなく、社内への啓蒙も忘れていない。エトヴォスはエシカルブランドというわけではないこともあり、サステナビリティに関心のない社員もいる。そこで「サステナ部」を立ち上げ、サステナビリティに関心の薄い社員をも巻き込みながら、サステナビリティの輪を拡げる活動を行っている。企業は優秀な社員の獲得や離職防止が課題の一つとしてあるが、社員として誇りを持てることや、純粋に職場が楽しいと感じられることは大きな意味を持つ。
普段の生活の中にもできることがあり、楽しみながら行動を起こすきっかけづくりを意識するというティシュキン氏の熱意は、今後も社内のメンバーにも気づきを与えていくだろう。

自分自身を楽しむことのできる「コンフォートスキンビューティ」

さまざまな製品があふれる中、製品の良さだけでなく、それを生み出す企業の姿勢にも意識を向ける生活者が多い。15周年を迎えたエトヴォスは、「コンフォートスキンビューティ」というコンセプトを掲げ、さらにブランディングを強化している。

“居心地のよい場所で、 お気に入りの時間を過ごすように。
心地のよい肌で、すこやかな自分でいられること。
胸を弾ませるメイクで、新鮮な自分を感じられること。
ETVOSが大切に想う「自分らしさ」の原点は、きっとそこに。

肩の力を抜いて、自分自身をもっと楽しめる今へ。

“Comfort Skin Beauty”
それは肌の上ではじまる、居心地のよいあなたの毎日。“

「厳しい選定条件によって限られた成分の中で作られた製品なので、製品自体の良さはもちろんあるのですが、それだけでなく、自分たちの目指すブランドの軸を “コンフォートスキンビューティ”というコンセプトとして発信することによって、ブランド自体に共感してくださる方を増やしていきたいですね」

エトヴォスは「コンフォートスキンビューティ」というコンセプトとともに、製品に魅力を感じるファンだけでなく、ブランドの姿勢に共感するファンをますます増やしていくだろう。


Nagisa YOSHIDA Sustainable Brand Journey 編集部
#ブランド #コミュニケーション #ビューティ #ダイバーシティ

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