ファクトの発信を通して、ユーザーとコスメ業界にムーブメントを
オーガニック化粧品ブランド “ドゥーオーガニック”の啓発活動

( 2022.7.5.公開 )

#ジャパン・オーガニック #インタビュー #オーガニック化粧品 #環境 #エシカル消費 #SDGs #啓蒙活動

数あるオーガニック化粧品ブランドゥーの中で、製造メーカーだからこそ知りえる一歩踏み込んだ情報を、ユーザーに向けて発信しているブランドがある。ちふれを母体とするジャパン・オーガニックが手掛ける「ドゥーオーガニック」だ。

ほぼ石油由来成分で構成された中にごく少量のオーガニック植物エキスが配合されただけの製品から土壌や製造にまで理念を貫いてつくられた製品まで立ち並ぶ、玉石混合のオーガニック化粧品の世界。「オーガニック化粧品とはどういうものなのか」について、ファクトにもとづく本質的な情報を発信することで、ユーザーの理解を深め、化粧品を選択する正しい知識を養ってもらい、ひいてはその厳しい目によって、業界全体の製品レベルが高まっていけばという願いのもと、ジャパン・オーガニックでは、SDGs出張授業や動画配信、ワークショップなどを実施している。

「化粧品という個人の肌のために使用するモノを通して、環境や社会にまでつながる循環を生みだすことができるのが、オーガニック化粧品の真髄」と語るジャパン・オーガニック株式会社取締役 兼宣伝広告部 部長の本田晃久氏に、活動内容やその背景について話を伺った。



「オーガニック・ナチュラル化粧品でサステナブルな未来を創造する」をテーマに出張授業を実施

ジャパン・オーガニックの母体となるちふれでは、1947年の創業当時から、社会への貢献を考えて企業活動を行ってきました。1974年に省資源のための詰め替え用化粧品を日本で初めて発売。1981年には業界に先駆けてフロンガスを使わないスプレーポンプを採用。販売価格を抑えながらも技術や性能は妥協しないものづくりで、ユーザー、社会、メーカーすべてが笑顔になれる取り組みを率先して実施してきました。

この軸を大切にしながら、原材料の部分から環境負荷を低減し、石油由来原料に依存しない、サステナブルな化粧品の開発にチャレンジしようとスタートしたのが2008年にローンチされたドゥーオーガニックです。

ドゥーオーガニックの開発準備当時は、まだオーガニックに本気で取り組むブランド や工場が、日本にほぼない状態。どこに相談しても「オーガニック認証を取得し、かつ効果がある製品を作ることは難しい」と言われる中、製造メーカーとして培ってきた長年の知見を活かして、粘り強く試行錯誤を繰り返し、納得のいく製品をつくりあげることができました。ブランドには「オーガニックをしよう!」という前向きなメッセージが込められています。

これまで、山野美容芸術短期大学や埼玉 県立熊谷女子高等学校などに「オーガニック・ナチュラル化粧品でサステナブルな未来を創造する」というテーマで、オーガニック化粧品でSDGsを達成していくことについて解説する出張授業を行いました。また、ワークショップやYouTube配信でも同様のことを伝えています。これらの情報発信の目的は、

・環境にやさしい(環境負荷の少ない)オーガニック化粧品を選ぶことでSDGsに貢献できることを知っていただく
・オーガニック化粧品は肌にやさしいとは限らないという実態を知っていただく
・オーガニックで日本の土壌を豊かにすること、有機農業にも貢献できることを知っていただく
・オーガニック化粧品について知り、関心もったユーザーが企業に質問したり、リクスエストしたりすることを通し、業界全体を育てていただく

といったものがあります。

オーガニックコスメを選択する眼の肥えたユーザーが増えることは、SDGsへの貢献はもちろん、オーガニック業界の活性にもつながります。また、環境への考慮と製品力は両立しにくいと言われる中、その点に自信と実績をもっているわたしたちドゥーオーガニックを評価していただくことにもつながると考えています。

SDGs出張授業で伝えるオーガニック化粧品の5つのポイント

オーガニック化粧品は環境にやさしい

出張授業やワークショップで最初にお伝えするのは、オーガニック化粧品は環境にやさしい化粧品だということです。

ドゥーオーガニックでは、米や黒豆など、日本で有機(オーガニック)栽培された原料や天然由来原料を使用しています。有機農法は、農薬や化学肥料を使わないなど、自然界本来の力を活かした人にも環境にもやさしい栽培方法です。有機農法では、生態系のバランスを崩し、土壌や海や河川を汚してしまうことが問題視されていた農薬等を使わずに、多種類の昆虫や動植物の生態系を維持し、活用しながら農業を行うことで、土の中の微生物を守り、豊かな土壌と作物を育んでいきます。つまり、オーガニック原材料を積極的に使用することは、自然環境や生物多様性を守ることにつながるとともに、持続可能で環境にやさしい「有機農法」の普及に貢献にもつながります。

環境にやさしい有機農法のデメリットは、手間暇がかかることと、そのために作物の値段が高くなることがあります。農林水産省の2018年の報告によると、日本の有機農地面積割合はわずか0.2%であり、EUの7~16%に比べるとかなり低い数字となっています。農林水産省では2050年までに農地の25%の有機化を目指すという方針を発表していますが、実態としてはかなり厳しい状況ですので、有機農法を盛り上げていくためにも、オーガニック原材料を活用していくことは重要だと思います。
オーガニック化粧品を広めていくことは、有機農法を通じて生物多様性や豊かな土壌を守ることへの挑戦であり、日本の環境と農家の応援につながると考えています。

一定の品質を保証し、判断を助けるオーガニック認証


オーガニック化粧品といっても、自社基準でそう呼んでいるのか、第三者機関の認定を受けているのかという違いがあります。自社基準であっても、厳しい基準を設定しているブランドもちろんありますが、数パーセントのオーガニック成分配合のみでオーガニックを謳うブランドあり、さまざまです。

日本にはオーガニック化粧品認定基準がないため、ドゥーオーガニックでは、国際的なオーガニック認証であるエコサートにより、エコサート・コスモス認証を取得しています。例えばコスモス認証では、全成分のうち天然由来成分98%以上、全植物原料中95%以上オーガニック、動物実験をしない、トレーサビリティ、成分、処方、パッケージにいたるまで様々な厳しい基準があります。それらをすべてクリアし、さらに年1回の監査を受けながら製品を製造しています。

環境にやさしいオーガニック化粧品を探している方にとって、認証は一つの判断基準になると考え、取得とともに授業でも紹介しています。

オーガニック化粧品の購入で環境貢献

購買行動がSDGsにつながるというお話しもしています。
私たち人間も環境の一部であり、すぐに取り組めるサステナブルな活動として、環境に配慮した製品を選択することが挙げられます。「私ファーストから、私も、家族も、地球も」いうフレーズでお話ししているのですが、化粧品は自分の肌を美しくするという自分ファーストな理由で選ぶものではありますが、社会貢献の要素を含んだ化粧品を選択することで、その購買行動が、農業、環境、健康に寄与するものになります。
「私たちにとって有害なものは、環境にも、次世代にも有害。だから、持続可能で人にも環境にもやさしい作り方が大切。その化粧品は上向きな循環を生み出していますか?」ということを、製品選びの時に思い出してほしいと思っています。

オーガニック=肌にやさしい、ではない

もう一つ、必ずお伝えしていることは、オーガニック化粧品は必ずしも肌にやさしいわけではない、ということです。間違った化粧品選びで肌をいためてしまったり、オーガニックは効かないと思ってしまう方が多いことは、非常に残念です。
オーガニック化粧品で使用する植物エキスは、ひとつのエキスの中にさまざまな成分が入っています。いろいろな成分が相乗効果を生み出すのは大きなメリットですが、それらのどれかに肌が反応してしまう可能性もあります。オーガニック=肌にやさしい、ではないのです。

きれいになるための技術力

オーガニック化粧品は原料価格自体が高価なことに加え同じ値段の一般的な化粧品(石油由来成分を基本とした化粧品)に比べると効果を感じにくいと言われることがあります。確かに難しい部分ではあるのですが、そこで重要になってくるのが製造メーカーとしての技術力です。確かな技術があれば、石油由来成分を使わなくても、処方力でカバーし、パフォーマンスを上げていくことができます。価格が同等で性能が同じかそれ以上ならば、より地球環境に配慮してつくられた製品を選択したい人が増えるのではないでしょうか。
ジャパン・オーガニックでは、母体であるちふれの長年にわたる製造メーカーとしての知見を活かし、環境に対する負荷軽減へのやさしさ、肌への効果、安全性すべて叶える化粧品づくりにこだわっています。

伝えたメッセージが届いている実感に感動




お話しを聞いてくださったみなさんからは、とてもピュアでうれしいコメントをいただいています。
「オーガニック化粧品は肌にやさしいというよりは環境にやさしいものだと知って驚いた」「化粧品もSDGsに関係しているとは思わなかった。SDGsにはいろいろな協力の仕方があることが分かった」「オーガニック化粧品は作る過程に手間とコストがかかることがわかったし、そのコストは価値があるものだと思った。安ければいいという考え方をなくして、製造過程や品質、周りへの影響も考えて買い物ができるようになりたい」
「私たちが知ったり調べたりすることで、さらに良い循環が生まれることを知ったので、知識をつけたい」「ちょっと高くても、自分の肌だけでなく地球や未来の人のためにも積極的に使ってみたくなった。買い物で環境にやさしくなれるのはうれしい」「自社の製品を通して環境にまで貢献しようとする姿勢が素敵だなと思った」「化粧品で地球に貢献できるなら、もっと多くの企業に取り組んでほしい」……。
まだ小さな取組みではありますが、届けたい想いがきちんと届いているという実感と大きな喜びを得ており、さらにそれを広げていくために、最近では動画配信を始めました。


オーガニック化粧品でサステナブルな未来の創造を



オーガニック化粧品は環境にやさしく、使うことが社会貢献につながるということをより多くの方に知っていただくため、今後も「オーガニック化粧品でサステナブルな未来を創造する」というテーマで情報発信を行っていきます。

実はドゥーオーガニックの製品については、オーガニックだから買うという方よりは、「きれいになれるから」という理由で選択してくださる方が多いという現状があります。
口コミサイトや自社サイトに寄せられるお客様の声も、クレンジングは「きちんと落ちるけど肌を傷めない」、ローションは「しっかり潤う」といったものが多く、製品力は認知いただいているものの、環境へのやさしさや持続可能性についてはまだまだお伝えできることがあると思っています。

オーガニック化粧品とドゥーオーガニックのサステナビリティについて情報を発信していくことで、製品力で購入してくださっている人には、自分はすでに環境にいいことをしているという実感につながりますし、オーガニックって効果はどうなの?と躊躇している人には、一般的な化粧品と効果が変わらないならオーガニックを選ぼう、という意識になっていただけたらうれしいですね。どちらの意味でも、オーガニック化粧品のサステナビリティについて発信していくことは、ブランド力を強化する取り組みの一環として有効と考えています。

ジャパン・オーガニックでは、人々がSDGsに注目する中、それを実践している化粧品分野があることを知っていただき、次世代にも負荷をかけない化粧品の選択を呼びかける地道な情報発信を続けていく予定ですし、環境にいいから、心地いいからというエクスキューズを使わずに、オーガニックでありながら、適正な価格・結果につながる処方・安全性を技術力で達成していくことに、これからもこだわり続けます。


■執筆:contributing editor Chisa MIZUNO
#ウェルネス #ビューティ #コンセプトメーカー #全国通訳案内士

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