フェアトレード ミリオンアクションキャンペーンイベント【前編】
アンバサダー廣瀬俊朗、望月理恵、堀潤と「フェアトレード」を楽しく考える

(2022.5.18. 公開 )
#フェアトレード #人権 #環境 #貧困 #エシカル消費 #イベントレポート

5月の第2土曜日は「世界フェアトレード・デー」と呼ばれ、世界中で一斉にフェアトレードに関するイベントが行われ、5月はフェアトレード月間と呼ばれる。

認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパンは、フェアトレード月間である5月に「フェアトレード ミリオンアクションキャンペーン2022」を開催している。ミリオンアクションキャンペーンとは、フェアトレード月間である5月の1か月間に「商品購入」や「SNS投稿」、「イベント参加」などフェアトレードに関する100万回のアクションを目指すキャンペーンだ(2022年は150万アクションを目指す)。

今回は、2022年4月28日に開催された、本キャンペーンのキックオフイベントの内容を紹介する。

なぜ今フェアトレードへの注目が集まるのか?

世界では、人権・環境など多様な課題が危機的状況に陥るなか、フェアトレードはその広い側面をカバーし、大きなインパクトを出せることから注目が高まっている。SDGsの17の目標全ての達成に貢献できることも、企業が注目を集める要因と言える。


(認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパンが集計しグラフを作成。出所:Annual Report 2020, Max Havelaar Foundation (Switzerland) 、Annual Report and Effectiveness Report 2020/2021, Fairtrade Germany)

日本のフェアトレード市場はドイツの18分の1(2020年ドイツ:2,374億円、日本:131億円)、一人あたりのフェアトレード商品の購入額では、スイスの108分の1(2020年スイス:11,267円、日本:104円)と、世界と比べて遅れをとる現状がある。

一方で、変化の兆しも見えている。多数の教科書でフェアトレードが掲載され、大学生がフェアトレードのサークル活動を行うなど、Z世代の関心が高まっていて、「SDGs」「人権」のキーワードへの注目の高まりによって、企業のフェアトレード導入も大きく増加している流れがある。

この流れを更に拡大すべく実施されるのが本キャンペーンだ。個々の団体だけではなく、業界の垣根を越えて連携することで、より多くの人に広めていくことを目指し、「点を面へ」というアプローチをとっている。企業、NGO、自治体を含めて140以上の団体が参加。サステナブルな取り組みを公私ともに行われている吉川ひなのさん、廣瀬俊朗さん、望月理恵さん、堀潤さん、末吉里花さん、エバンズ亜莉沙さんの6名をアンバサダーに起用し、生活者にむけて更なる啓発を目指す。


キャンペーン開催に向けた想いを述べる潮崎 真惟子さん

フェアトレード・ラベル・ジャパンの事務局長、潮崎 真惟子さんは「ミリオンアクションキャンペーンを通してフェアトレードを楽しく知っていただける1ヶ月間にしたい」と話す。

アンバサダーそれぞれのフェアトレードへの想い 

左より、廣瀬さん、望月さん、堀さん。

本キャンペーンのアンバサダーのうち、今回のイベントでは廣瀬さん、望月さん、堀さんの3名が登壇した。

・入口のハードルをさげて、小さなことからやってみよう

「自分自身も素人なので、一緒に学びながら広めていく立場でやれるといいのではないか。スポーツは、いろんな人に何かを知っていただくきっかけや、入り口のハードルを下げるのにはすごくいいんじゃないかと思う。たとえば、試合会場にそういうものがあると、子どもたちが“おもしろそう、楽しそう、やってみよう”という状況が作りやすいと思っている。」元ラグビー日本代表キャプテンの廣瀬さんは、自らの立場ならではの意気込みを語った。

発展途上国を中心に活動する医療ボランティア団体 NPO法人ジャパンハートでアドバイザリーボードを務める望月さんは、「普段のちょっとした行動で誰かを救うことができ、自分の生活の質も上がるとしたら、やらない理由が見つかりません」とフェアトレードに対する想いと共に、「こんな小さなことでもいいのかなと思うようなことでも、やらないよりやってみよう」とフェアトレードアクションを促した。

・誰かの生きる権利を損なわないよう、世界へも目を向ける

堀潤さん(ジャーナリスト・映画監督/NPO法人8bitNews代表/(株)GARDEN 代表取締役/(株)わたしをことばにする研究所代表取締役/早稲田大学グローバル科学知融合研究所招聘研究員)

報道の現場にいる堀さんは、カンボジアの農村部の話として「現金収入を得るため、男性たちが村外・国外に働きに出て、残された家族が集落を守るが、彼女たちは現金収入がないため病院にかかることもできない状況がある。そうした中で日本のNGOが水を確保して家庭菜園の技術を伝えて、そこで作ったハーブを都市部の店に卸すことで、自分たちの手で現金収入を得られている。そういったストーリーを知ることではじめて、フェアトレードはひとりひとりが正当に生きられる環境を整えることだと伝えることができる。伝えることで貢献したい」と語る。

社会課題に貢献できていると実感するために何が必要か

フェアトレードという言葉を聞いたことがあっても、フェアトレード商品の購入による貢献を可視化できないために購入に至らない人も多いと、フェアトレード・ラベル・ジャパン事務局長を務める潮崎さんは指摘する。ひとりひとりがフェアトレードを意識したアクションを起こし、その結果として大きなインパクト=効果を実感できるようにするためにはどうしたらいいのだろうか。

ジャーナリストとしての立場から堀さんは「固有名詞を挙げて、人の顔が見える報道をすること。いろんな事例がニュースになっていない現状があるので、世界に目が向くきっかけをつくれるように報道の努力が必要」、知ることの重要さを説いた。

廣瀬俊朗さん(元ラグビー日本代表キャプテン/Team Fair Playキャプテン)

「手縫いをしないといけないということで、どうしても児童労働が起きやすい環境にあるのがラグビーボール。スポーツの世界からフェアトレードを推進することによって、より多くの人に届けられる。選手自身が内省して、フェアプレーの精神をボールにも、植物にも、次世代にも広められればいい」と、廣瀬さんはスポーツ界での可能性を示唆した。

アナウンサーやラジオ番組のパーソナリティとしても活躍し、プレイングマネージャーとして良質なコミュニケーションを常に意識している望月さんからは、フェアトレードを人に伝えるときの工夫として、「自分でちゃんと理解したものを、楽しいと思ったら楽しいと伝えることと、どういう人たちが聞いているのかを想像することでより伝わりやすくなる。その伝える先を考えるところに大きなアクションがある」と述べた。

世界中の人がフェアに、幸せに暮らせる社会を目指して

私たち生活者が実際に今日からはじめられることとして、廣瀬さんは「商品を手に取った時に、どこからきたのかという入口について考えると同時に、出口についても考える癖を少しずつつけられると素敵だと思う」と話す。

望月さんは、「フェアトレードの商品を手に取って買うだけでアクションになる。そのことを友人たちに話すと“それだけでいいの”と驚いていた」と友人とのエピソードを交えつつ、今後のアクション宣言として「国際フェアトレード認証ラベルを見つけてもらうために、SNSで発信するなどアクションしていきたい」と意気込んだ。フェアトレード商品を購入するためには、認証ラベルを知ることも大事なアクションとなるだろう。


望月理恵さん(株式会社セント・フォース取締役/NPO法人ジャパンハート アドバイザリーボード)

ミリオンアクションキャンペーンへの参加方法は、単にフェアトレード商品の購入を促すだけにとどまらない。たとえば、本キャンペーンで提携した日本各地のカフェやレストランでは、フェアトレード スペシャルメニューを楽しめる。そしてSNSで料理やドリンクの写真を投稿して広めたり、ハッシュタグの追加でフェアトレード商品プレゼントにも応募することができる。飲食店以外にも、期間中はさまざまな自治体や企業の交流イベントも開催される。

また、フェアトレード製品の魅力を知ってもらうために、SNS上でプレゼントキャンペーンを展開する。


#FairtradeAction2022を付けた投稿はキャンペーンサイトで紹介している

ハッシュタグキャンペーンは、InstagramTwitterで「#FairtradeAction2022」を付けて投稿するだけで、フェアトレードに貢献できるものだ。フェアトレードに興味はあるが何をしたらよいのか分からないと二の足を踏む生活者にむけて、身近なSNSへの投稿を呼びかけることで、気軽にアクションを起こせることを訴求する。ハッシュタグの数が多くなればなるほど、貢献の効果=インパクトも実感しやすくなる。

後編では、協賛企業であるイオントップバリュ株式会社、エスビー食品株式会社、UCCホールディングス株式会社各社の取り組みを紹介する。

【参考サイト】
フェアトレード ミリオンアクションキャンペーン2022 Choose Fairtrade サステナブルな未来のためにできること


■執筆: RINA Sustainable Brand Journey 編集部

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