【エコプロ2021】 廃棄物を資産に。デジタル機器の活用を伝えるソフマップの展示

(2022.4.27 公開)

#循環型社会 #3R #ESD #リサイクルアート

2021年12月、「持続可能な社会の実現に向けて」をテーマに掲げた社会課題の解決を目指す展示会「エコプロ2021」が行われた。企業関係者、自治体、そして学生まで約7000名が参加する大規模イベント。
500社・団体/1,050小間(見込み)が出展していた中で、株式会社ソフマップはIT資産の適正処理からなるリユース・リサイクル事業や、廃材アートなど不要なデジタル機器の活用を中心とした展示を行った。

ITの資産処理とリユース・リサイクル

以前インタビューした通り、ソフマップはデジタル家電販売事業のなかでも、特にリユース事業に力をいれている。(過去のインタビュー記事はこちら
使われなくなった機器を捨てるのではなく、再利用することによって廃棄削減や資源の有効活用をしている。ただ、有効活用するためにはデジタル機器の中にある大切な情報を適正処理しなければならない。
情報処理が安心・安全に行われ、リユース・リサイクルされている実態を、今回のエコプロ展では作業工程の流れを図で表現したパネルや、使用済パソコンの再生工程と再生不可能なパソコンのリサイクル処理過程を実際に見ているような感覚で楽しめる「バーチャル工場見学」で分かりやすく展開した。

「バーチャル工場見学」では、不用品が回収された後、さまざまな抹消ランクに対応してデータ消去が行われる様子を見ることができる。ソフトウェアでの消去はもちろん、今回、体験型展示として設置された「メディアシュレッダー」での物理破壊についても紹介されると共に、使用済のIT機器が再び販売されるためのクリーニング工程まで細かく知ることができる内容になっている。また、再利用できないものについては、手作業で分類されてマテリアルごとに再資源化される様子も紹介されていた。

人気の体験型展示



適正処理の際に使用されている「メディアシュレッダー」の展示も行われた。「メディアシュレッダー」とは、HDDやSSD、USBメモリなどの記憶媒体を細かく破砕処理することができる機器である。記憶媒体を粉砕処理することで、データの完全消去を実現することができるのだ。破砕を実際に行い、目の前で見ることができる体験型展示ということもあり、多くの来場者を惹きつけていた。
その中には、授業の一環として来ていた中学生や高校生の姿も。普段目にすることのない機器、さらにその機器によって安心、安全なリユース・リサイクルの実現に繋がっているということもあり、熱心に説明を聞いている様子が窺えた。


2020年に「持続可能な社会の創り手を育む教育」について記された新学習指要領の実施が開始したこともあり、中高生にとってSDGsは身近で関心のある存在と言えるのかもしれない。
加えて、ESD(「持続可能な社会の創り手を育む教育」)の実践において効果的に推進するためには「地域や大学・企業との連携の視点を取り入れること」も重要だとされている。
今回の体験展示のように、実際に行われていることを自ら体験することで、子供たちにも事業を通し貢献できることを伝えることができるのかもしれない。

他にも、小学生でも楽しみながらリサイクルについて触れられるリサイクルアートコーナーが設置されていた。メモリーやキートップなど、廃棄されるはずの機器を活用して楽しむコーナーである。
気軽に参加できることもあり、連日多くの子供たちで賑わいを見せていた。



コーナーには子供たちの安全面も配慮し、キッズサポーターとして「女性活躍推進チーム」のメンバーが参加。「女性活躍推進チーム」とは、女性従業員の活躍を目指し、主に女性管理職の育成等のキャリア支援や出産・育児などのライフプランのサポートを想定して2021年9月に立ち上げられたチームである。
彼女たちの協力もあり、子供たちにとって安全で楽しくリサイクルに触れられる機会を提供していた。

世界的アーティストのサステナブルアート作品展示



ソフマップのブースには、事業関連のコーナーだけではなく、廃材を使ってアート作品を制作するアーティスト・長坂真護(ながさかまご)氏の展示ブースも設置されていた。パソコンなどの廃材が海外に捨てられている現状を目の当たりにし、それらの廃棄物を使ってアートを作りあげることで、売上を現地の教育等に貢献するという取り組みを行う注目のアーティストである。
社会活動家としても知られる長坂氏は、 “世界平和と環境保全の創造“を目指し活動しており、以前ソフマップとコラボレーションをしていたこともあり、この展示に繋がったという。サステナブルな彼のアート作品により、より多くの来場者の興味関心を引くブースとなっていた。

買取総合サービス「ラクウル」を通じたリユースエコノミーサイクルの紹介



買取総合サービス「ラクウル」の紹介パネルを展開。
「ラクウル」とは、生活者が中古商品を売買しやすくするためのソフマップ独自のプラットフォームである。
もともとソフマップでは、パソコン・デジタル家電やゲームソフトの中古販売や買取にも力を入れていた。だが、よりリユースやリサイクルを身近に感じてもらい、循環型社会の形成にさらに貢献するために発足されたそうだ。
循環型社会への貢献に繋げるためにも、生活者に利用してもらいやすいサービスでなくてはならない。そこで「ラクウル」では、最重要事項として「安心・安全」を追求している。
近年問題視される個人情報等のデータ管理や消去を徹底して行うことで、手軽なだけではない使いやすさを提供しているという。
“もの”を簡単に使い捨てるのではなく、一人ひとりがリユースやリサイクルまで視野に入れ有効活用できるようにすることで、循環型社会の実現に貢献できると考えているそうだ。
そんな「ラクウル」の展示パネルはイラストや漫画が用いられ、分かりやすさと親しみやすさを重視した作りとなっており、サービスを知らない人にとってもリユースがより身近に感じられるような展示となっていた。


「サステナブル」と聞くと、まだまだ難しく感じる人も多いかもしれない。しかし、多くの来場者で賑わいをみせたエコプロ展から、持続可能な社会への関心を持つ人は多いことが伺える。さらに株式会社ソフマップのように、事業から環境循環型社会へ貢献し、それを子供にも分かりやすく伝えていく企業が増えることで、今後ますますサステナブルな取り組みやその意識は社会に浸透していくだろう。


【参考サイト】
エコプロ2021出展レポート

エコプロ2021

持続可能な開発のための教育(ESD - 文部科学省

■執筆: UMI Sustainable Brand Journey 編集部

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