【事例 後編】
ニューノーマルな時代における
生活者の心をつかむコミュニケーション

(公開日:2022.3.28)

#ニューノーマル #新しい生活様式 #ファンマーケティング #デジタルシフト

SNSを始め、企業と生活者の距離が近い現代だからこそ、企業は生活者の今の姿をとらえたコミュニケーションを行っていく必要があります。前編では商品開発についてご紹介しましたが、後編ではニューノーマルにおいて、生活者の環境や心情の変化をうまくとらえた施策をご紹介します。



【1】余暇の変化を反映した販促事例


(画像引用:NHK放送文化研究所「コロナ時代のテレビの価値調査」、2020年11月25日~2021年1月8日)

コロナ禍において、自宅での時間が増え、余暇の過ごし方も大きく変化しました。外出自粛やテレワークなどにより、運動不足が深刻化。また、グラフにあるように自宅で過ごす時間が増えたことで動画配信サービスやYouTube、テレビなどの動画視聴時間が増えています。

そうした生活の変化に販促プロモーションをうまく結びつけた事例をご紹介します。





(画像出典:株式会社ニューバランス ジャパン プレスリリース、2021年)

■コロナ禍の運動を応援するキャンペーン
ニューバランスはランニングシューズ「FRESH FOAM(フレッシュフォーム)」の販促キャンペーンとして、「産地直走 FRESH→HOME CAMPAIGN」を2021年8~9月に実施。

「走った距離をTwitterで投稿」もしくは、「FRESH FOAMシューズを購入して応募」すると、お肉や果物など日本各地のフレッシュな産直品が当たるというキャンペーンです。キャンペーンを通じランナーと日本各地の生産者を応援しています。

イベントの中止によりモチベーションが下がるランナーや、コロナ禍で運動不足に悩む方の後押しとなる、生活者の心理をうまくとらえた企画。地方の生産者と結び付けることで、売上だけでなく、ブランドイメージの向上にもつながっています。

参考サイト:プレスリリース
産地直走 FRESH→HOME CAMPAIGN 株式会社ニューバランス ジャパン




(画像出典:Netflix Japan プレスリリース、2022年)

■違ったイベントの楽しみ方を提案するキャンペーン
バレンタインといえばチョコレートを販売するお菓子メーカーが力を入れるイベントですが、2022年はNetflix Japanもキャンペーンを実施。
バレンタインに向け“NETFLIX CHOCOLATERIE”と題し、恋の味(おすすめの恋愛ドラマやアニメ)をWEBで診断できるコンテンツを展開。診断結果をTwitterでシェアすると実際にオリジナルチョコレートが抽選で当たるキャンペーンを行いました。

コロナ禍でバレンタインに手作りやプレゼントを行う人が減っている中で、イベントの新たな楽しみ方を提案する企画。動画視聴のニーズが増えている背景もあり、時流にうまく乗ったキャンペーンだといえます。

参考サイト:プレスリリース
NETFLIX CHOCOLATERIE


多くのキャンペーンやコンテンツが溢れている中で生活者を振り向かせるには、このように生活者の変化や心理をとらえた文脈づくりが欠かせません。単に何かをプレゼントするというキャンペーンではなく、そこにブランドらしい文脈があることで生活者の心を動かすことができます。



【2】オンラインを活用したファンとのつながり


(画像引用:Glossom株式会社「スマートフォンでの情報収集に関する定点調査」、2021年5月26日~5月28日、2020年6月11日~6月13日、2019年5月31日~6月3日)

コロナ禍において、リモートワークやオンライン会議、オンラインショッピングなど急速にデジタルシフトが進みました。また、人との交流が制限される中で、人との関わりをオンラインに求める人も増えSNSの利用時間が増加しています。

同じく企業と生活者の接点もデジタルが主体となり、サイトやオンラインイベント、SNSを活用してファンとのつながりを深め、ブランドイメージを向上させている企業が増えています。




(画像出典:コメダ珈琲店 さんかく屋根の下

■オンラインでのファンコミュニティ
コメダ珈琲店はWebサイト上でファンコミュニティを運用。登録したファンがコメダ珈琲についてコメントしあったり、コメダ珈琲のメニューに投票したりできる参加型のコンテンツを展開しています。定期的にオンラインでのファンイベントを行い、ファンとのコミュニケーションを深めています。

参考サイト:コメダ珈琲店 さんかく屋根の下 

(画像出典:敷島製パン Pascoとおいしい時間

敷島製パンも同じくパスコ・サポーターズ・クラブとして「Pascoとおいしい時間」を展開。
ユーザーが購入した商品の画像を投稿してコメントしあったり、おすすめレシピを投稿したり、サイト上で活発に情報交換が行われています。こちらもオンラインイベントを頻繁に行うことで新商品の感想を聞いたり、新たな商品を知ってもらったりとオンラインの場をうまく活用しています。

参考サイト:敷島製パン Pascoとおいしい時間


近年では、SNSを活用するだけではなく、自社の運用するWebサイトで企業とファンが一緒に楽しめるコミュニティを運営する企業が増えてきています。情報が瞬く間に流れていってしまうSNSに比べ、独自のコミュニティであればユーザーに確実に情報を届けることができ、またファン同士のやり取りを可視化し、資産化することができます。




(画像出典:日本ハム シャウエッセン断髪式

■SNSを活用したブランディング
シャウエッセンは省資源化のためにパッケージをこれまでの巾着型から、長方形に変更。その変更を「シャウエッセン断髪式」という力士の断髪式を彷彿とさせるユニークな動画で紹介しました。Twitterでは動画が450万回以上表示されるなど話題に。

パッケージの変更をそのまま伝えても注目されることは難しいですが、Twitterウケする面白い動画にすることで生活者の心をつかみ拡散されました。環境への取組が広く知られ、ブランドイメージの向上につながっています。

参考サイト:日本ハム シャウエッセン断髪式 


前編後編と、コロナ禍の変化に一早く対応した企業の事例をご紹介しました。
変化に際し、ゼロから新たな商品やビジネスを構築するのも一つの手ですが、一方で莫大なコストや労力がかかり、中々ハードルが高いのも事実。ご紹介した事例のように、今の自社の強みや資産を見つめ、視点を変えて、新たな需要や価値を生むこともできると思います。

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■執筆: Sustainable Brand Journey 編集部

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