【事例 前編】
サステナブルブランディングを取り入れた
ニューノーマル時代の商品開発事例

(2022.3.28 公開)

#ニューノーマル #新しい生活様式 #フードロス #商品開発

コロナ禍で生活者の暮らしや価値観は急速な変化を余儀なくされ、そしてそれが定着しつつあります。その変化に合わせ、企業もまたこれまでのマーケティングやブランディングを柔軟に変え、新たな可能性を探っています。

生活者の変化を読み解き、ビジネスに生かす際のヒントとして。
ニューノーマルな企業の取組をサステナブルな目線も取り入れつつ、前編では商品開発、後編では顧客接点の目線でご紹介します。



【1】ペット市場の拡大に伴う商品開発


(画像引用:一般社団法人ペットフード協会「2021年(令和3年)全国犬猫飼育実態調査 結果」、2013~2021年)

コロナ禍で在宅時間の増加や孤独感を抱く方が増えたことで新たにペットを飼い始める人が増えています。

ペット関連の国内市場規模は2019年度に4461億円(前年度比5.5%増)※と年々拡大。実はコロナ禍以前はペットの飼育数が年々減っていましたが、一方で高付加価値商品の台頭やサービスの増加により市場規模は拡大していました。
四季報ONLINE より

こうした状況を受け、自社のセールポイントを生かしながら、ペット向けの商品を開発する企業が現れています。



(画像出典:秩父の板前さんが作ったワンコメシ 和心伝酔 DA’dA

■害獣駆除されたイノシシ肉をペットフードに活用
ジビエ料理が名物の飲食店「和心伝酔DA‛dA」はコロナ禍で客足が減ったことを受け、イノシシ肉やシカ肉を活用したペットフードを発売開始。きっかけはコロナ禍の売上減ですが、売り手都合の商品というわけではありません。ジビエ肉はビタミンBなどの高い栄養価を持ち、また添加物を一切配合しない愛犬の健康にもうれしい商品です。さらに害獣駆除された猪や鹿を活用しているので社会課題の解決にも役立っています。

参考サイト:秩父の板前さんが作ったワンコメシ 和心伝酔 DA’dA



(画像出典:株式会社九州築地 プレスリリース、2022年)

■捨てられるチョウザメをペットフードに活用
卵が高級食材のキャビアとして食されているチョウザメ。卵を採取された後のメスはもちろん、オスもほとんどが食べられることなく廃棄されています。この問題を解決するべく、「宮崎―森のチョウザメ―」から宮崎県産のチョウザメの魚肉と軟骨を活用したペットフードが誕生。原料はチョウザメのみで添加物を一切配合しないというペットの健康を考えたこだわりの商品。
人向けの「チョウザメの切り身」とともにオンラインで販売しています。

参考サイト:プレスリリース
森のチョウザメ 株式会社九州築地



【2】食生活の変化に伴うD2Cの商品開発


(画像引用:株式会社ポケットマルシェ「withコロナ時代の「食」に関する意識調査調査」、2020年8月26日〜9月1日)


(画像引用:FONTEC R&D 株式会社「コロナ禍の健康意識に関する調査」、2021年7月)


(画像引用:楽天インサイト「コロナ禍における食生活に関する調査」、2021年2月16日~2月18日 ※MarkeZineニュースの記事より流用)

コロナ禍の外出自粛や飲食店の時短営業に伴い、私たちの食生活は大きく変化しました。
これまで外食中心だった若い世代が自炊を始めたり、テレワークや子供の自宅待機により、家で食事を作る回数が増えたり。食事のメニューに関しても健康を気にする人が増え、また外出自粛に伴いネットでの食品の購入機会が増えています。
加えて、2021年の年末に「牛乳のロス削減」が大きな話題となったように、フードロスの問題に関しても関心が高まっています。

そうした変化に伴い、「自炊」、「健康」、「オンライン購入」、「フードロス削減」などをキーワードとした新たな商品が生まれています。



(画像出典:ガレージ株式会社 プレスリリース、2022年)

■フードロス寸前の国産野菜を使ったパスタ
販売価格の安定や見映えの問題など様々な要因で大量の野菜が生産者の手で廃棄されています。それらの廃棄野菜を減らし、生産者の収入安定を目指した生パスタが「畑のベジパスタ」。一食で野菜70gを摂ることができ、おいしいだけでなく、健康にも配慮しています。クラウドファンディングで購入者を募集し目標金額を大幅に達成するなど、生活者のニーズをつかんだことで売れている商品です。

参考サイト:プレスリリース



(画像出典:オイシックス・ラ・大地株式会社 プレスリリース、2022年)

■廃棄されるおからを使ったパンケーキミックス
食品の定期宅配を行うOisixは「Upcycle by Oisix」というフードロス削減のプライベートブランドを2021年7月より展開。半年で約15トンのフードロス削減を達成しています。
2022年1月には新たにおからを活用した「パンケーキミックス」をオンライン上で発売。「おから」の食用での活用は実は1%以下(2013年 日本豆腐学会調べ)。大半は廃棄されるか、家畜の餌や肥料に回っています。食物繊維を豊富に含み、食材としての価値のあるおからをうまく活用した取り組みです。

コロナ禍以降、お子さんと過ごすおうち時間に手作りのお菓子を作る家庭が増え、関連商材が売れています。そこに、ヘルシー、サステナブルという付加価値をつけることでより生活者の心をつかむ商品となっています。

参考サイト:プレスリリース
「豆腐づくりから生まれたおから入りパンケーキミックス」 オイシックス・ラ・大地株式会社

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これらの事例のように、自社の持っている既存の資源やノウハウを活用しながら、生活の変化やサステナブルと絡め、今の生活者の心理をうまくとらえた商品の開発は、独自の価値創造や、市場拡大の新たな可能性を秘めています。

前編ではコロナ禍での生活の変化に一早く対応した商品開発の事例をご紹介しました。後編ではコロナ禍のユーザーと企業の接点の事例をご紹介します。

後編はこちら

■執筆: Sustainable Brand Journey 編集部

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