「キッザニア」SDGs宣言セレモニーを開催

(2022.3.18. 公開)

#ESD #SDGs #廃棄削減 #社会課題解決


2021年12月、SDGsの理念が広く社会に受け入れられつつある日本で開設15周年を迎えた「キッザニア」に新たなパビリオンが生まれた。
職業・社会体験を通じて子どもたちに生きるチカラを育む「キッザニア」では、さらに新しい体験を通じて地球規模の環境や社会に関する問題を身近な問題とし、自らできることに気づき、考え、行動することを子どもたちに促していく。



「キッザニアSDGsセンター」がオープン

2021年12月15日、「キッザニア」に、SDGsに触れて社会課題に気づき、自ら考えて行動することをサポートする体験・参加型のパビリオン「キッザニアSDGsセンター」がオープン。この日、「キッザニア東京」(東京都江東区)と同時オープンした「キッザニア甲子園」(兵庫県西宮市)をリモートでつなぎ、「キッザニア」SDGs宣言セレモニーが開催された。約1時間に及ぶセレモニーでは、キッザニア子ども議会の子ども議員の開会宣言に始まり、東京と甲子園それぞれの子ども議員によるキッザニアSDGsセンターの紹介、SDGsに関するトークショーやSDGs宣言などが行われた。

トークショーでは、食品ロスに関する身近な出来事や、ロスを減らすためのアイデアが子どもたちから飛び出した。同席した社会派クリエイティブ・ディレクターの辻愛沙子さん(株式会社アルカ代表)は、子どもたちの社会課題に対する知識の豊富さや関心の高さに驚くとともに、子どもならではの視点に刺激を受けたようだ。



社会の課題を学び、気づきを促すアクションラリー

キッザニアSDGsセンターでは、キッザニア誕生の物語を通じてSDGsの考え方について学んだあと、「未来を変える!アクションラリー」を行う。
企業が出展する8つの展示スポットで、食品ロスや服の大量廃棄など地球が抱えるさまざまな課題に関するクイズに答えながら、「自分ならどのようなアクションを起こすか」を問いかけていく。子どもたちが一つ一つの課題に向き合い、考えていく仕組みだ。
ラリーの最後には、チケット裏面に「一番解決したい課題と自分にできるアクション」を書き込み、中身が見える透明のボックスに投函する。

セレモニーでは、実際にスタッフに説明を受けながら子どもたちがクイズに答え、アクションごとに異なるカラースタンプをツールに押していく。クイズの答えは同じでも、自分のアクションについては、少し考えながらそれぞれスタンプを選ぶ様子は、すでに課題に対して自分ごととしてとらえる姿勢につながっているように見えた。

「キッザニア」SDGs宣言セレモニーの様子/キッザニア


出展企業の思いや目的とは?

では、「キッザニアSDGsセンター」に協力する企業は、どのような思いや目的があるのだろうか。
そこで、展示スポットのひとつ、『身近なもったいない問題』で協力する株式会社モーンガータに尋ねてみた。同社は、廃棄されるコスメを絵具へとアップサイクルする事業を展開し、近年、SDGs へとつながるその活動が注目を集めている。

同社の展示スポットでは、子どもたちと等身大のキャラクターのふとした気づきというストーリーから、身の回りの「もったいない」ことについて、自分ならどのようなアクションを起こしたいかを問いかけている。
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協力企業・モーンガータ社

ー「キッザニアSDGsセンター」に参加した理由はなんでしょうか。

キッザニアSDGsセンターの取り組みは、「楽しみがあるからこそ、継続的な取り組みを繋げていくことができる」という弊社の想いがまさに形になったようなものであると感じました。SDGsの目標達成に向けて取り組んでいくことはとても大切なことです。

しかしながら、世界で共通して定められたものであるから、目標の達成を目指すべきという「与えられたもの」であっていいのでしょうか。
「SDGsは本当に大切なのか」「なぜ大切なのか」「今の正解は未来の正解なのか」「どのような課題と解決方法があるか」自分自身で問いかけ、知り、学び、考えることで、さまざまな課題に対しても自発的に取り組んでいけるのではと思います。
また、そこに「楽しみ」があるからこそ、人は自然な形で取り組みを続けていくことができると思っています。この「キッザニアSDGsセンター」では子どもたちに楽しい体験としてそれらを届けることができるのではないかと思い、参加させていただく運びとなりました。

ー自社の取り組みやキッザニアのサービスを通して、子どもたちに知ってほしいこと、
またどのようなアクションを起こしてほしいですか。

モーンガータの取り組みは、役目を終えたコスメをアップサイクルすることにありますが、皆さんが関心を持つことはコスメに関することだけではないはずです。
弊社の取り組みを通じて「身近にあるもったいない」や「こんな問題があるのではないか」という、何気なく自分が日頃感じている疑問や違和感、課題に対して気づき、考え、自分自身の解答を育てていただければという想いです。そして願わくは、その考えを言葉にしてみる、何かの形にしてみる、誰かと話し合ってみてほしいのです。

表現してみることの大切さと難しさを知り、それぞれに違った捉え方、考え方があることに触れて分かち合うことで、もっと思考の幅や視野は広がります。
そこにはきっと、大人では考えつかないような気づきやアイデアが沢山あるのではないかと思います。

>> 関連記事: 捨てられるモノを楽しいコトへ。コスメロス問題から見る、アップサイクルの本質

与えられたものではない、継続的な取り組みへ

このように「キッザニアSDGsセンター」では、自社の事業や取り組みが、子どもたちの未来に繋がればという、出展企業それぞれの真摯な思いにも触れることができそうだ。

キッザニアの取り組みに共感した企業の展示スポットでは、廃棄されたビニール傘から作られたカバン、ケミカルリサイクルして作られた服、途上国で作られたアクセサリー、森林との共生のための“終わらない森”創りなど、様々な側面から社会課題にアプローチする活動を知ることができる。

しかし、重要なのはこれら企業のアイデアやアクションが、子どもたち自身の「楽しい」や「面白い」といった体験とともに「じぶんごと」としてつながり、そして様々な形で継続されることである。SDGs達成の取り組みであっても、あくまでも自主的に、さらに楽しみがあるからこそ続けていくことができるはず。ここでの体験が子どもたちにとって、何かのきっかけとなり、将来に繋がっていく可能性も大きい。

子どもには少し難しいように感じるSDGsだが、そんなことは気にする様子もない。
楽しそうにスポットを巡る子どもたちを見ながら、子どもならではの柔軟な発想や将来見られるであろうさまざまな社会活動に期待が膨らむ。
アクションラリーを体験しながら、自由な気づきと理解度の高さを表現していく子どもたち。キッザニアが目指す「生きるチカラを身につける」ことにまた一歩近づいていくようだ。

そして大人は、子どもたちへの期待だけでなく、自分たちの責任の重大さを忘れてはならない。


■執筆: Sustainable Brand Journey 編集部

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