【 セミナー開催報告:後編 】サステナブルブランディングから読み解くウォッシュ

SDGsの注目度が高まり、多くのメディアで取り上げられるようになりました。SDGsに関連させてサービスや商品をPRする動きも増えてきていますが、安易にSDGsのロゴを使用すれば、「SDGsウォッシュ」として批判され、PRのはずが逆効果になってしまう場合があります。
そこでYUIDEAでは、2021年11月30日に「SDGsウォッシュをいかに回避するか炎上しないサステナブル・ブランディング設計に向けて」と題したセミナーを開催しました。

セミナーの前半では、まずSDGsウォッシュとは何か、そしてSDGsウォッシュをどのように回避すればよいのか、国際的なフレームワークにも触れながらご紹介しました。続いて後半では、サステナブル・ブランディング視点での新しいコミュニケーション設計「サステナブル・ブランディング」を通して、生活者の共感やロイヤルティを向上させた実例をご紹介しました。

後編となる本記事では、「サステナブルブランディングから読み解くウォッシュ」の概要をお伝えします。

>> 前編 : 「SDGsウォッシュをいかに回避するか 入門篇」はこちら



サステナブル・ブランディング = 社会課題 × 自社らしさ

サステナブル・ブランディングの価値は、社会課題と自社らしさの 掛け合わせから生み出されます。社会的価値とは、企業が 商品やサービスを通じて社会に提供する価値のことです。
 
SDGsを 社会貢献活動の起点にして、いかに わたしたちの社会を変えていけるか。その過程をストーリーとして生活者にうまく届けることができれば、「共感」が生まれます。そしてこの「共感」によって、生活者が「選ぶ」「検討する」フェーズに入ったときに、企業・団体や商品・サービスの想起率があがったり、実際にそれを購入する動機づけにつながるのです。




効果的なサステナブル・ブランディングのポイント

サステナブル・ブランディングとは、企業の存在意義や提供価値を、今の時代が求める社会的な要請や「今」を生きる生活者のインサイトにフィットするコミュニケーションで展開することを指します。

サステナブル・ブランディングを適切に行うには
●企業文化と社外からの評価や期待を、的確にとらえる
●国内外の環境や市場の変化を継続的にリサーチし、重要な情報や必要な知識を社内で共有する
●プレイブックや社内報などの社内メディアを活用して、社内浸透を推進する

などのプロセスを通じて、視野をひろく持って社会にどんな潮流が生まれているかをとらえ、すべてのステークホルダーをつないで協働できるようなアプローチやアクションを、社会の文脈で伝えていくことが望ましいでしょう。


サステナブル・ブランディングを進める際のチェック項目

いくらその取り組み内容が意義あるものでも、実行できなければ意味がありません。
そして実行するからには、関係者間でPDCAがしっかり回せるよう仕組みを整えていきましょう。

・サステナブル・ブランディングを進める際のチェック項目

☑ 規模・スキル面で実行可能か


☑ 施策のフローや成果が明確か

☑ 単発型ではなく持続可能な内容になっているか

☑ 企業の独自性や必然性(ミッション・パーパース)と結びついているか



SDGsを含むサステナビリティの取り組みは、一朝一夕で実現できるものではありません。
環境や社会課題への取り組みが単発で終わってしまっては、そのこと自体がウォッシュと見なされてしまう可能性もあります。そしてその取り組み内容が社会的に意義があるものでも、自社ならではの必然性からかけ離れてしまっては、本末転倒です。
 
必要に迫られて形骸化した取り組みをアピールするのではなく、しっかりと 戦略を立ててSDGsを含む、サステナビリティ推進に取り組むことが大切です。



ウォッシュにならないためのコミュニケーション設計と表現の工夫

SDGs目標(ゴール)に貢献しています」と言うだけではウォッシュのリスクが高まる


今回のセミナー開催に寄せられたお声のなかでも

・どうすればSDGsウォッシュを避けられるか
・ウォッシュの事例、SDGs訴求の好事例を知りたい

など、「ウォッシュ」を気にされる お声が 大半でした。

ウォッシュのリスクを回避するためには、まずSDGsへの理解を深めることが大切です。

>> 関連記事:【入門】SDGs導入診断 SDGsに取り組むための事前準備、大丈夫ですか?


そして、アクションを起こすにはハードルが高いと感じられる場合は、事業経営するうえで行われている分析内容やマネジメントラインを活用するとよいでしょう。また、SDGsの取り組みをPRする際にはSDGs目標やターゲットだけではなく、なぜその課題が生じているのかという「要因」に着目してみましょう。


社内で一貫したコミュニケーションができるよう確認・把握をする

社内浸透・啓発に関する内容も、事前に寄せられたご質問のなかに多く見受けられました。



ひとたびSDGsウォッシュが指摘されると、企業や商品・サービスへの信頼は損なわれ、企業活動そのものに甚大なダメージを及ぼしかねません。

安易にSDGs目標と結びつけるだけでは不十分だという認識を社内全体、関係者全員ですりあわせをし、一貫したコミュニケーションができるか確認・把握することも非常に重要なポイントです。

なぜならば、せっかくいい取り組みをしていても、たとえば企業のトップやSNS担当者がうっかり意図と反する表現やアクションを起こしてしまうことによって、ウォッシュや炎上につながる可能性もあるからです。



ウォッシュリスク回避のポイントと表現の工夫

「環境にやさしい」など、具体性に欠ける表現はウォッシュのリスクを高めます。
根拠は何か?という視点を、生活者が常にむけていることを忘れてはいけません。



ここで挙げた例で言うと、悪い例としている表現も、ぱっと見では何ら問題ない表現に見えるかと思います。ですが、明確なエビデンスやデータを開示できなければイメージダウンにつながるリスクが伴います。
いい例で示しているように、客観的かつ定量的なデータや測定方法などを明示することで、企業が目指す社会や環境への具体的な貢献内容が、受け取る側に理解されやすくなります。


サステナビリティやSDGsに取り組む意義

新しいことをはじめるとき、それが利益と直結するイメージが持たれない場合は特に、風当たりは強くなります。そんなときには、なぜ私たちがサステナビリティやSDGsに取り組もうとするのか、という起点に立ち返ってみましょう。それはとりもなおさず、自分たちの子どもや孫、そしてさらにその先の世代にむけて誇れる仕事をすることに他なりません。

ひとりひとりが、いち個人としてできることは地球規模でみるとあまりにも小さいのですが、仕事を通じて出来ることに気づき、考え、実行してみる。そうして、多くの人や企業を巻き込みながらサステナビリティやSDGsへのいい影響をスケールアップさせていくことが、サステナブル・ブランディングの意義ではないでしょうか。



サステナブル・ブランディング支援

私たち「サステナブル・ブランド・ジャーニー」編集メンバーは、マーケティングやブランディングにおける実績と知見を活かし、サステナビリティとエシカルが融合した新しい時代のコミュニケーションを最適化します。
ターゲットとする生活者に広くリーチし、ブランド理解を深めて顧客化することや、顧客ロイヤルティを高めてライフタイムバリューを向上させるための企画やマーケティング活動を、あらゆるフェーズでお手伝いさせていただきます。

また、プランニングや分析のみならずクリエイティブやテクノロジー専門チームとも連携し、サイト・ビジュアル制作、動画まで一貫して対応できるため、軸のブレない設計が可能です。

サステナブル・ブランディング支援、コーポレートサイト改善、社内浸透やプレイブック等のご相談も承ります。ぜひ 貴社のお悩みや 実現したいビジョンを 私たちにお聞かせください。


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■執筆: Mami NAITO Sustainable Brand Journey 編集部
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