女性特有の課題を解決する157アイテムを集めて開催したFemtech Fes! 2021の、女性に寄り添うアプローチ

(2021.11.6.公開)

フェムテックという言葉をご存知でしょうか?


フェムテックとはFemale+Technologyの造語で、女性特有の体や心の悩みや課題をテクノロジーで解決する製品やサービスを指します。
女性の活躍やジェンダー平等が強く叫ばれるようになり、その実現のためにも女性がいきいきと日々を過ごせるためにさまざまな商材が開発され、フェムテック市場は急速に拡大しています。

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世界中の最新フェムテック製品に直接触れることのできる過去最大のイベント「Femtech Fes! 2021 あなたのタブーがワクワクに変わる3日間」(以下フェムテックフェス)が、2021年10月22−24日(22日はビジネスデー)に六本木アカデミーヒルズで開催されました。
今回はそのイベントのレポートをお届けします。

全日程満席、27カ国約157の商材を展示し1,441名が来場

初めてこのフェムテックフェスが開催されたのは2年前の2019年9月。当時は約30社の商材が紹介されました。そして2回目となる今回はその規模を大幅に拡大し、27カ国約157の商材が集められました。
30分ごとの予約制入場枠は全ての時間帯が満席となり、追加枠が設けられたのちもまた満席。合計1,441名が来場しました。

展示フロアには商材が所狭しと展示され(いくつかは海外から日本に送られる最中で新型コロナ感染症の影響による混乱で残念ながら現物が届かないものも)、1日5つ(ビジネスデーは6つ)のワークショップやパネルディスカッションが開かれました。

「安心」しながら「楽しむ」ために、考え込まれたプライバシーへの配慮とデザイン

性の悩みをオープンに話すことに抵抗がある人はまだまだ多いのが現実。そのため、イベントにはプライバシーに対してのきめ細かい配慮がなされていました。

受付では、撮影への映り込みや取材の声がけがOK・NGという意思表示をできるように2種類のリストバンドのうちどちらかを選んで受け取ります。
来場者は感染症対策でマスクをしているため顔はわかりにくいものの、やはり知人が見たら分かってしまいます。このリストバンドをつけることによって、より安心してイベントを楽しむことができました。


(画像引用:fermata 公式サイト

カンファレンス会場では最前列に「映り込み・取材OK」の席が設けられており、露出を避けたい来場者は他の席に着席。
また、会場ではSNSへの投稿の際には他の来場者のリストバンドを意識しながら撮影をするようにとリマインドがありました。その呼びかけはルールを淡々と説明するものではなく、「プライバシーに配慮いただくことによって、みなさんによりワクワクとイベントを楽しんでいただけるように」という言葉が添えられており、こういった些細なことからも主催者の方々の想いを感じることができました。

ワークショップやパネルディスカッションでは、その場でスマートフォンから質問を書き込むことができ、リアルタイムでカンファレンス中に質問に答えてもらうことができました。質問は匿名で書き込むことができるようにとここにも配慮が。
女性特有の悩みや質問は誰に聞いたらいいか分からないということが多く、かといってネットの情報は信憑性の判断がつきにくいため、このように専門家に直接質問できるのは嬉しいです。

パンフレットや会場のデザインには、ミレニアルやZ世代に響くカラーや質感が取り入れられていました。来場者の年齢層も20代半ばから30代が多かったように感じます。
一般的に年齢が上の世代ほど性に関する話は“恥ずかしいもの”、“コソコソ話すもの”という意識が根強いですが、かわいい、おしゃれと感じられるような会場づくりによって、よりイベントを楽しめる雰囲気になっていました。

女性と一緒に来場していた男性もちらほら見かけました。男性が女性特有の悩みを知ることはが女性の理解やいたわりにつながるため、男性も一緒に参加できるのは素晴らしいことだと感じました。


女性でも気づかなかった課題への気づき

展示フロアでは、「月経」「妊活・不妊」「妊娠・産後」「更年期」「女性特有疾患」「セクシャルウェルネス」「その他・メンタルヘルス」の7つのカテゴリーに分けて商材が展示されていました。
各商材には「プロダクトの紹介/誕生背景」と併せて「解決したい課題」がパネル表示されていたため、大量な展示において、各商材を短時間で理解しやすい工夫がされていました。




女性特有の悩みは人それぞれで、月経一つ取っても経血の量や痛みや不調のレベルが異なります。それなのに、情報が少なく相談相手もあまりいないため、自分に合うものが見つけられずに悩みを抱えたままの人も多いのではないでしょうか。
また、その悩みはライフステージや年を重ねることによっても変化します。

同じ女性でも、すべての課題を知っているわけではなく、月経痛がひどい人と殆どない人、妊活をしたことがある人ない人、出産や子育てを経験した人としていない人、更年期の悩みのなある人ない人・・・と、悩みは本当に人によります。
このイベントによって、同じ女性であっても知らなかった課題が多く存在することを知ることができたことも、とても意味のあることだと感じました。


手に取りやすいデザインであることの重要性

手触りや香りはものづくりにおいてとても重要な要素です。
展示されていた商材には無機質なデザインは殆どなく、やさしいブルーやピンクなど「かわいい」と思われるような色を使い、触れた時に柔らかかったり滑らかだったりと、つい手に取りたくなるようなデザインが多くありました。
肌に触れたり体の中に入れたりする製品だと、ケバケバしい色より自然界に存在するような色が選ばれる傾向にあります。また情緒的な側面も持つフェムテック商材は、寄り添うようなデザインがより好まれるでしょう。


生活者の意識を変え、ハードルを下げることが課題

2019年に大丸梅田店がフェムテック製品の売り場である「ミチカケ」をオープンし、その後伊勢丹新宿店もフェムテックに特化したイベントを開催したり、ユニクロが給水ショーツを発売するなど、日本でも少しずつ女性特有の課題を解決するための発信や商材が増えてきています。
一方で、フェムテックという言葉は女性の間でもまだまだ浸透が進んでいない印象も感じます。

商材の販売において、事業者はSNSでシェアされる仕組みやコンテンツづくりに力を入れます。フェムテック商材は、ファッションやコスメのイベントに比べるとまだ拡散されにくいものであるのは確かです。
少しずつ生活者の意識を変え、より多くの女性の課題が解決されるよう、市場の拡大と有識者やインフルエンサーの方々の発信に期待しつつ、私も草の根活動をしていきたいと思います。



【参考サイト】

【事後レポート】3日間で約1,400名が来場!「Femtech Fes! 2021」が終了しました



Nagisa YOSHIDA  Sustainable Brand Journey 編集部
#ブランド #コミュニケーション #ビューティ #ダイバーシティ

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