Society 5.0とは何ですか?
内閣府によって提唱されたSociety 5.0は、課題先進国とも言われる日本が目指すべき未来社会像だ。
世界が大きく変化するなか、経済発展のトレードオフとして、気候変動や食料危機(食品ロス)、格差是正などの社会課題が複雑化している。
IoT(モノのインターネット)、ロボット、AI(人工知能)、ビッグデータといった先端技術を、あらゆる産業や社会生活に取り入れ、テクノロジーとの共生により新たな社会を実現することが経済発展と社会的課題の解決を両立させるためには必要不可欠だ。
Q. Society 5.0とは何ですか?
A.
Society 5.0とは、内閣府によって提唱された日本が目指す未来社会の姿。
情報化社会を指すSociety 4.0からさらに発展・進化を遂げたSociety 5.0では、サイバー空間(仮想現実)とフィジカル空間(現実空間)を融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立できる。
たとえば自動運転技術や、身体機能を補助・拡張する装着型サイボーグなどが、開発例として挙げられる。
さまざまな情報が集積されたビッグデータをAIが解析したり、IoTやIA(知識増幅:intelligence augmentation)によって実現されるであろうサステナブルな未来社会を世界に先駆けて示そうとしている。
(画像引用:『Society 5.0とは』内閣府 )
Society 5.0のタッチポイント
2021年7月には、あらゆる分野の最先端かつ独創的な科学技術を200点以上も展示した「Society 5.0科学博」が、東京スカイツリータウン(R)で開催された。空飛ぶ車の展示などをはじめ、未来社会を体感できるだけでなく、それぞれの開発が社会・環境課題にどう貢献するのかということも分かりやすくまとめられ、ブースごとにサイネージで表示されていた。
さらに「Society 5.0科学博」はインターネットを活用し、会場へ足を運べない人にもスマートフォンやパソコンからオンラインで体感できるサイバー展示方式も同時に行った。
また、Society 5.0への理解をより深めるための動画を内閣府は作成している。
これらの動画は内閣府ホームページ利用規約に基づいて、誰でも使用可能となっている。
◎Society 5.0 ‐未来社会 動画
◎Society 5.0 ビッグデータ連携がもたらす未来社会像 動画
脱プラ・再エネ
人とテクノロジーの共生
AI(人工知能)、高速通信、センサー。この3つを基本技術として、Society 5.0で実現できる(を目指す)ことは実に多種多様だ。
SDGsに代表される環境や社会問題を、経済活動のなかで解決していく仕組みや製品・サービスも、今まさに研究開発がハイスピードで進められている。
・再生可能エネルギー(クリーンエネルギー)
水素を液体にしたり、アンモニアとメタンの混合ガス燃焼で発電をしたり、波の力で電気を生み出す「波力発電」や台風をエネルギー源にできる発電機など、安心で安全な再生可能エネルギー(クリーンエネルギー)を供給できる仕組みが続々と開発されている。・脱プラ
日本のスギから生まれたバイオ由来の「改良リグニン」は、プラスチックに代わる新素材、バイオプラスチックとして電子基板、スピーカーや自動車部品などさまざまな製品に使われ始めている。他方では、内閣府が推進する「革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)」において、製品ごとの特徴に合わせて自在に作り出せる「しなやかタフポリマー(人口構造タンパク質素材)」の研究が進められており、この素材を随所に採用した電気自動車コンセプトカーも発表されている。
レジリエンス強化
・防災/災害支援
高感度のマイクロフォンデバイスの開発により実現した災害対応ロボット(ドローン)や、正確な避難情報を提供し、避難生活を支援する防災チャットボット(SOCDA)は、気候変動によって自然災害が増えている今まさに、導入と普及が急がれる領域だ。さらには災害に負けない通信の強靭化として、基地局同士が相手の基地局を認識し、自動接続する機能をもつ地域分散ネットワーク「NerveNet」にも注目したい。
的確な自然災害の予測や迅速で効率的な災害救助は、人命の保護や救助に直結する。
社会が危機に直面したとき自分の会社で何ができるかと真剣に考えて課題をみつけ、解決策を提供していくことは、イノベーションや独自性を発揮するだけでなく、社会全体に利益をもたらすことにもつながるだろう。
ダイバーシティやウェルビーイングも
・ウェルビーイング
3Dプリント技術を応用したオーダーメイド型の人工関節や義足、対話型AIを搭載した自動運転車いす。
誰もが不自由なく、健康的に、アクティブに自分らしく生きられる社会の実現もまた、Society 5.0 が目指す大きなテーマの一つだ。
・ダイバーシティ
AI技術を活用した多言語音声翻訳システムは、日本ではなじみのない外国語を含め31もの言語に対応している。さらに様々な言語の情報を集めてデータ化し、AIが学習することで翻訳の精度をあげて、人の会話に近い翻訳が可能になるという。
これによって言葉の壁をなくし、多様な人と交流しやすくなるだけでなく、自由なコミュニケーションができるようになり、多様性への理解が深まったり、世界を舞台に活躍する人も増えていくことが期待される。
(画像引用:『Society 5.0とは』内閣府 )
Society 5.0 は、製品やサービスが、必要な人に、必要な時に、必要なだけ提供されるよう最適化された社会システムだ。
イノベーションで創出される新たな価値により、人とテクノロジーが共生し、
地域、年齢、性別、言語等による格差がなくなる。
さらには、生活者ひとりひとりの多様なニーズ、潜在的なニーズに対して、きめ細かな対応が可能になる。
これはSDGsの理念「誰ひとり取り残さない: Left No One Behind 」にも通じる。
【参考サイト】
内閣府 Society 5.0とは
科学博プレスリリース
内閣府プレスリリース
あらゆる分野の最先端科学技術を200点以上展示した「Society 5.0科学博」が7月15日に開幕
■執筆: Mami NAITO Sustainable Brand Journey 編集部
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