いい生き方とは? ウェルビーイングの本質を問う「人生100年の共生」ブランディング

「いい生き方、いい考え方をしてれば、光はスピードを持ってバーンと相手に差す」
心を真っ直ぐに射貫くこの言葉は、住友生命の企業CM『生き方を問う篇』で、写真家 繰上和美氏が語っているものだ。

生命保険=リスクに対して備えるという従来の価値提供から、「いかに健康によりよく生きるか」へ。
住友生命相互保険会社は、長寿、高齢化社会、サステナビリティやSDGsなど時代を映した様々なニーズと生活者意識の変容に感度高く呼応し、人生100年時代を「よりよく」「サステナブルに」生きることに対して、どのようにコミットしていくかを意欲的に打ち出している。

「ウェルビーイング」にフォーカスしたサステナブルブランディング

「サステナビリティ」という言葉が日常に浸透してくるのと同じくらいに「ウェルビーイング」も耳になじむ言葉となった。

もともとは医学や介護・福祉の領域で使われる言葉だったが、「身体的にも、精神的にも、社会的にも良好な状態(well-being)」というWHO(世界保健機構)の定義がSDGsや多様性の概念とも合致し、広い領域で「ウェルビーイング」が重視され、語られはじめている。

病気や死亡という、本来なら健康や幸福と対極にある状態に備えることを目的とした生命保険会社が
ウェルビーイングにフォーカスしたコーポレートメッセージを発信する。
これは単なる企業ブランディングというよりは、生保商品の価値変容を目指す、なみなみならぬ覚悟をともなった決意表明のようにも受け取れる。

『生き方を問う』CM YouTube動画配信で再生数120万回超

「人間というのは全部違うものであって、それぞれの光を持った生きものであるっていう」

『生き方を問う』CMは、配信開始後 InstagramやTwitterでも多くの人の目にふれ、拡散された。
動画配信開始から1ヵ月で85万回の再生数を記録し、さらに約3か月経過した現在( 2021年10月7日時点)で30秒と60秒の両バージョンを合わせて再生回数は120万回超にまで達している。


(画像引用:住友生命ホームページ:CMギャラリー

幸せに生きるとはどういうことか?
ウェルビーイングとはどういう状態か?

これらの普遍的な問いに対する答えは、生きることそのものを自分だけが残せる芸術として真摯に向き合い、毎日のくらしを積み重ねていくことなのかもしれない。



“正しく清くはたらくひとはひとつの大きな芸術を時間のうしろにつくるのです。(中略)
みんなはそれを見ないでしょうが、わたくしはそれを見るのです。
おんなじようにわたくしどもはみなそのあとにひとつの世界をつくって来ます。
それがあらゆる人々のいちばん高い芸術です。”
(引用:『マリヴロンと少女』宮沢賢治,1926年)

たとえば上に引用した「マリヴロンと少女」という童話を通して宮沢賢治は、いわゆる芸術活動と呼ばれるものだけが芸術なのではなくて、生き方そのものを創造的にすることが出来るし、そもそも生きることそれ自体が芸術なのではないか、と私たちに問いかけてくる。
そして、あらゆる人々が日々働き、生活した痕跡として、誰もが芸術を残しているのだ、と。
この考えは、時を超えて、いま人々の心をとらえている「ウェルビーイング」の概念と重ならないだろうか。

健康寿命×地方創生×官民連携

後世に伝え、残していく、すなわち持続可能な状態を続けていくことは、地方創生においても避けられない大きなテーマだ。
住友生命は、地域の共助の力を活かした健康寿命の延伸と生活の質(QOL)向上を目的に、NPO法人ETIC.のコーディネートを通じて島根県雲南市と株式会社PREVENTとの連結協定を締結した。

PREVENTが開発したオンライン完結型の生活習慣病の発病・重症化予防アプリ「Mystar(マイスター)」を活用した実証プログラムが、2021年6月28日から指導している。
雲南市住民が半年間ウェアラブル端末を身に着け、歩数や脈拍を記録。さらに食事を写真に撮って、看護師などから生活習慣病の重症化を予防するためのアドバイスを受けるという内容だ。


(画像引用:住友生命プレスリリース


サステナブルな時代に求められるミッション

住友生命は、「一人ひとりのよりよく生きる=ウェルビーイング」を支えるためのサービスとして、
様々な価値を提供していくエコシステムWaaS(Well-being as a Service)の構築を目標として掲げている。

望まざる事態が起きてしまったときに保険料を払うことではなく、人々が幸せに、健康に生きるために避けたいリスクを、いかに減らせるかを考え、実践していくことこそが本来の保険会社のミッションであるべきだろう。

心に響くメッセージの発信やパートナーシップの広がりと共に、生活者との実生活におけるタッチポイントが増えれば、保険会社が取り組んでいるサステナビリティ施策にも注目が集まり、業界全体のイメージアップや生活者の意識変容にもつながっていくはずだ。



【参考サイト】

住友生命 企業CM「手紙篇」「生き方を問う人篇」放映開始

~住友生命とPREVENT、島根県雲南市が連携協定を締結~地域と共助した健康づくり「生活習慣病からあなたを守るプログラム」始動

ローカルベンチャー協議会


■執筆: Mami NAITO Sustainable Brand Journey 編集部
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